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「自分がヒヨッコに見えた」山縣亮太はなぜ“短距離のタブー”筋トレを始めたのか? パリ五輪では「2~3キロ増量」の理由
text by
倉世古洋平(スポーツニッポン新聞社)Yohei Kuraseko
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2021/11/04 06:00
東京五輪での悔しい思いを胸に、再びパリ五輪へ向けて歩みを始めた山縣亮太。来年30歳、スピードへの探究心はまだ尽きそうもない
来年6月10日に30歳を迎える。アスリートとして節目の年齢を迎えるが、スプリンターのタブーに挑み続けるように、この先も筋肉との会話を続ける決意でいる。
「蘇炳添選手の体って、あれだけ筋肉があるのに、柔らかそうですよね。ゴムまりのようなって言うのかな。あんな感じで、筋収縮のスピードを速く保てるような柔らかい状態じゃないと、力が入ってくれない。右ひざ(膝蓋腱炎)が問題なければ、冬の間に体重を75~76キロにしてみたいですね」
トレーニングで今よりも2~3キロ増量し、パワーをスピードにつなげることをテーマにして24年パリ五輪を目指す。体づくりと並行して、「速くなるためのヒント」も探し続ける。近年は、単に鍛えるだけなく、神経伝達を意識したトレーニング、座禅、ボイストレーニングも練習の1つとして取り組んだ。中堅からベテランにさしかかろうかという時期に入っても、勤勉さに変化はない。
引退時期について、たずねた。
「トレーニングのやり残しがまだあるんですよね。ああいうのをやりたいっていうのがある。それを全部やり切って、出し切って、それでも勝てなくなったらやめます。あとはケガですね。(右膝蓋腱炎のような)付き合っていくタイプのケガが治らなければ、やめようと思っています」
小学4年で出た初めての試合で、100メートルを14秒80で走った。あれから20年でタイムを4秒85縮め、9秒95まで来た。どうすれば速くなるのか、探究心は尽きない。ゴールはまだまだ先だ。
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