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11年ぶりのFC東京、長友佑都35歳に聞く「Jリーグのレベルは上がった?」「欧州サッカーと日本サッカーの一番の“差”は?」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byJ.LEAGUE
posted2021/10/31 11:06
FC東京に11年ぶりに復帰した長友佑都35歳。イタリア、トルコ、フランスで名門クラブを渡り歩いた。久々のJリーグのレベルをどう感じているのだろうか?
長友 妻は本当に大変だったと思います。僕たち家族にとっても今回の移籍は、とても良い方向に導かれたなって思っていますよ。
――生活においても日本に戻って良かったなっていう実感は何かあります?
長友 コロナ禍ですし、9月12日にFC東京に復帰して、日本代表でも戦って、海外遠征の後は隔離も待っているので……なかなか家族を連れてどこかに行くっていうこともまだできてないですね。
「イブラヒモビッチは40歳でバリバリですから」
――9月12日に35歳を迎えました。ただインテル時代に尊敬していたハビエル・サネッティは36歳のときに欧州CL制覇やセリエA5連覇などを果たしていますよね。
長友 サネッティのことはいい意味で今も指標になっています。もちろん僕らの年代で引退していく選手はいっぱいいますが、(ズラタン・)イブラヒモビッチは40歳でバリバリやっているわけですからね。C・ロナウド(36歳)だって僕より年齢が上ですから、年齢を言い訳にはできないですよ。
――同じ年齢で言えば、たとえば本田圭佑選手がリトアニア1部スドゥバで、岡崎慎司選手がスペイン2部カルタヘナでプレーしています。
長友 彼らからは常に良い刺激をもらっていますよ。同時に僕自身も彼らに刺激を与えられるような存在でありたいとは常に思っています。北京五輪からプロとしてやってきて、日本代表でもずっと一緒に戦ってきた。本当にいい仲間であり、良きライバルであり、そうやってここまでやってきているので、これからもそうありたいなとは思います。
◆◆◆
35歳にしてますます意気軒高だ。
11年ぶりの日本復帰が簡単ではないチャレンジであることは彼も理解している。
10月23日、味の素スタジアムでの鹿島アントラーズ戦を1-2で落とし、FC東京は3連敗となった。5試合連続のフル出場を果たした長友も、本調子からはまだ遠い。周囲に伝える熱のボルテージもまだ足りない。代表戦を含めた疲労やJリーグへの再順応中という要素はあるだろう。ただ、彼が弱音を吐くことはない。
沈むかと見せかけて起き上がってくる人でもある。ガラタサライでは登録メンバーから外れ、約9カ月間実戦から離れた。それでも屈することなくマルセイユにたどり着き、日本代表でも自分のポジションを明け渡していない。青赤のユニフォームとの再会によって新たな野心に火がつき、一つひとつ薪をくべているのが今だ。
環境の変化をプラスに変換して――。
長友佑都の本領発揮は、まさにこれからだと言っていい。<前編から続く>