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<単独インタビュー>「この夏は強く心に残ることばかり…」メッシが語ったアルゼンチン初タイトルの歓喜とPSG移籍の真相
posted2021/10/25 11:00
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フランス・フットボール誌France Football
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L’Équipe
リオネル・メッシがフランスに到着してから2カ月が過ぎた。最近では試合にも常時出場するようになり、得点も決めて、本来のパフォーマンスを取り戻しつつある。
『フランス・フットボール』誌10月号はバロンドール特集で、男子のバロンドール候補者30人と女子の候補者20人、レフ・ヤシントロフィー(最優秀ゴールキーパー賞)とレイモン・コパトロフィー(最優秀若手賞=21歳以下)の候補者それぞれ10人が発表された。全世界のジャーナリスト(男女バロンドールとレフ・ヤシントロフィー)と過去の男子バロンドール受賞者(レイモン・コパトロフィー)による投票は現在進行中で、2021年受賞者の発表と表彰は11月29日にレキップTV(レキップ紙の有料テレビチャンネル)でおこなわれる。
この号のもうひとつの目玉がリオネル・メッシインタビューである。バルセロナからパリ・サンジェルマンへ電撃移籍を果たしたメッシは、いうまでもなく史上最多となる6度のバロンドール受賞者であり、2021年の最有力候補のひとりでもある。そのメッシが、コパアメリカ優勝に始まり、バルセロナを退団してパリ・サンジェルマンに移籍するに至るまでの、これまでにない激動の夏を語った。フローラン・トルシュ記者によるロングインタビューをここでは3回に分けて掲載する。まずはその第1回から。(全3回の1回目/#2はこちら)
(田村修一)
南米王者の喜びとバルサとの思わぬ別れ
――ここ数カ月の間に、あなたが感涙にむせぶシーンを3度見ました。アルゼンチン代表でコパアメリカ優勝を飾ったときと長年過ごしたバルセロナを去るとき、W杯予選のブエノスアイレスでアルゼンチンのサポーターにコパアメリカ優勝トロフィーを掲げたときです。感情をあまり表に出さないあなたが、あれほど感極まるのはめったにないことです。
「この夏は、コパアメリカ優勝をはじめとして強く心に残ることばかりが立て続けに起こった。アルゼンチン代表では、忘れられない時間を過ごすことができた。タイトルを獲得できて本当によかった。僕が長い間、夢見ていたことだったから。南米チャンピオンになるために、ずっと戦い続けてきた。これまで何度もあと一歩のところまで近づいたけど(過去には2007年、2015年、2016年の3度決勝に進み、15年と16年はいずれもPK戦の末にチリに敗れた)、ようやく優勝までたどり着いた。しかもブラジルの地で、ブラジルを破っての優勝だ(7月10日、マラカナンスタジアムで1対0の勝利)。信じられないよ。心ゆくまで喜びを味わいたかった。