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《資産46兆円のサウジマネー》がニューカッスル買収… PSG、シティを上回る資金力でモウリーニョ、ハーランド獲りもある? 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2021/10/15 11:01

《資産46兆円のサウジマネー》がニューカッスル買収… PSG、シティを上回る資金力でモウリーニョ、ハーランド獲りもある?<Number Web> photograph by Getty Images

3億ポンド強で買収されたニューカッスル。イングランド北東部の古豪が手に入れた資金力はシティの14倍の規模となる

帳簿上のポテンシャルも見込んでいるはず

 クラブ所有許可が下りなかった1年半前と比べて何が変わったのかと言えば、プレミア放映権を購入しているカタール系放送局との訴訟問題がサウジ側の妥協で解決しただけで、国家によるクラブ経営権掌握のリスクに関しては、PIFの独立性にしても買収後のモニタリング方法にしても、詳細は公表されていない。

 それでもリーグがオーナーの交代を承認したのだから、買収の是非をファンに問うのはお門違いというものだ。ニュース番組でインタビューを受けた男性が「ニューカッスルが好きなだけだから歓迎する」と繰り返していた気持ちは理解できる。

 彼は「サッカー界の力関係で最底辺にいるのが自分たちですから」とも言っていたが、サポーターの発言力が物を言うなら、私腹を肥やす手段としてしかクラブを捉えていないと理解されたアシュリー前政権が、14年間にも及ぶことはなかった。

 新オーナーも「カネ」の匂いに引かれたことに変わりはない。PIFは、サウジアラビア経済における石油への依存度を下げるため、エンターテイメント・ビジネスの一環として欧州サッカークラブに目を付けたとされる。今回の買収に関与し、8割のPIFに対して1割のクラブ所有権を持つ投資グループ『ルーベン・ブラザーズ』も、「イングランド北東部の雄」が持つ帳簿上のポテンシャルも見込んでいるはずだ。

チームが生気を取り戻せば、地元も活気づく

 ニューカッスルは、「サッカーの母国」には珍しい“ワン・クラブ・タウン”だ。国内北西部ではマンチェスターでもリバプールでも市内にライバルが存在する。ロンドン勢は、郊外を含めれば7クラブが今季プレミアに顔を揃えている。その点、ニューカッスルには地元ライバルがいない。

 北東部というくくりでは20kmほどの距離にサンダーランドがいるが、現在はリーグ1(3部)所属。地元ファンが抱くニューカッスルへの情熱と忠誠心は国内随一。約5万2000人収容のセント・ジェイムズ・パークには、前回チャンピオンシップ(2部)時代の2016-17シーズンにも、平均5万1100人が通い続けた。

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