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《現役引退》「悔しいより、申し訳ない」荒木絵里香が語る“集大成”の4度目のオリンピック「あの場面、一生思い出すんだろうな」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byAFLO SPORT
posted2021/10/08 11:04
東京五輪にキャプテンとして荒木絵里香。大会を振り返りながら、悔しさを滲ませた
荒木が言う“最後”とは、決勝トーナメント進出に向けた大一番となった韓国戦。フルセットを迎え、14-12で日本が先にマッチポイントを握った場面だ。
前衛は籾井と石川、そして荒木。後衛には黒後、古賀がいてどちらもバックアタックを打てる。選択肢は決して少なくない状況であったはずだが、「あと1点」を取るべく、籾井は続けて石川を選択した。だが、その攻撃は韓国に読まれ、2枚揃ったブロックでタッチを取られ、つながったボールをねじ込まれて4連続失点。14-16、日本は大逆転を許してしまった。
2019年のU20世界選手権で優勝、MVPも受賞した石川の攻撃力や勝負強さを考えれば、決して誤った選択ではない。だが結果的に一度ならず二度、三度とつながれた。その間に日本はタイムアウトを取っていたことも考えれば、もっと別の策があったのではないか。そう思うことも否めない。
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「タイムでは(コーチの)相原(昇)さんから『セッターが前だから(マッチアップする)真佑で行こう』と。向こうのセッターはあまりブロックのいい選手でもなかったので、確かにそう考えるのが一般的です。でも韓国だってわかっているから、ミドルは最初からセッター側に寄ってブロックのフォローに入っていました。タラレバですけど、真ん中から速攻も行けたし、私がライト側に走ってバックアタックも使えた。
あきは自分で考えてゲームメイクするセッターだから余計なプレッシャーは与えたくなかったので、『絶対に持ってきて』とは言わず、アイコンタクトで『私にあげてくれても、大丈夫』と合図しました。でもあそこで具体的な指示をできなかったこと、そしてボールを託されなかったのも自分の実力。能力の低さを受け入れないといけないな、と」