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《現役引退》「悔しいより、申し訳ない」荒木絵里香が語る“集大成”の4度目のオリンピック「あの場面、一生思い出すんだろうな」
posted2021/10/08 11:04
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
AFLO SPORT
オリンピック出場4回――長きにわたり、バレーボール界を牽引してきた荒木絵里香が現役引退を発表した。「最後」と位置付けた東京五輪を改めて振り返ってもらった(全2回の前編/後編へ)
女子バレー日本代表、荒木絵里香が引退を表明した。
北京、ロンドン、リオデジャネイロ、そして東京。出場した4度の五輪を振り返るたび、荒木には脳裏へよみがえる“色”がある。
「体育館の壁が北京は淡いブルーで、ロンドンは紫、リオはオレンジ。東京は赤でした。深い赤に五輪マーク、あの深い赤がこびりついていて。思い出すとまだ、苦しいですね」
幾度となく繰り返した「集大成」という言葉が示唆してきた通り、荒木は大会前から東京五輪を現役最後の大会に、と決意していた。
これまで走り続けてきた自身のために。そして支えてくれた家族のために。これからのバレーボール界を背負っていくであろう、東京五輪で共に戦う若い選手たちのために。できること、願うことはたった1つ。すべてを出し尽くして、終わりたい――。
「願った結末とは、全然違いました」
8月2日。36歳最後の日に、荒木の、女子バレー日本代表の五輪は閉幕した。
1勝4敗。予選ラウンド敗退で10位という結果を突き付けられた数時間後に37歳の誕生日を迎えた。
「願った結末とは、全然違いました」
荒木が、重い口を開いた。
4度目の五輪は、これが最後、と気持ちが高ぶる一方で、不安も抱いていた。
「ここまでを振り返ると、どうしても即席感が強かったというか。でも(直前の)ネーションズリーグはメンバーを固定していたので、なかなか試合に出る機会のない選手と、チーム内でも温度差があった。勝てば嬉しいし、みんなでわーっと喜ぶけど、一体感は足りない気がして。この空気感で大丈夫かな、と感じることはありました」