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「雑草魂で頑張ります」高橋藍20歳に備わる“悔しさをバネにする力”…飛躍的な成長の理由とアジア選手権で見えた手応え
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2021/09/20 11:02
主将・石川祐希が不在だったアジア選手権の2戦では、“逞しさ”を感じさせるプレーを披露した高橋藍
高橋は、東山高校卒業を控えた昨年2月に初めて日本代表に選出された。昨年はコロナ禍で大会が開催されなかったため、今年5月28日に開幕したネーションズリーグで国際大会デビューを果たした。
国内で高く評価されていたサーブレシーブは、海外勢の強力なサーブにも揺らがず、攻撃でも対応力の高さを見せ、石川の対角のポジションにピタリとはまった。
東京五輪では全試合に先発出場。プレッシャーのかかる場面でも、世界トップレベルのサーブを正確に返球し、堅いディグでも存在感を発揮した。
長く日本代表を支えてきたオポジットの清水は、五輪後、こう語っていた。
「日本は、高橋藍が入ってきたことによってより一層レベルアップしました。『リベロが2人いる』みたいな状態。藍が入ったことでサーブレシーブが本当に安定しましたし、ディグも読みがよくてめちゃくちゃ拾う。本当に、リベロが2人いる。しかも打てるんですから。決定力のあるリベロがいる、みたいな感覚ですね」
五輪の活躍でフォロワー急増
19歳(当時)の大学2年生は、日本の29年ぶりの予選ラウンド突破(ベスト8入り)に貢献。世界を相手に躍動する姿や、カナダ戦で見せた美しいフェイクセットなどが見るものを魅了し、インスタグラムのフォロワーは爆発的に増え91万人にも達した。
取り巻く環境が目まぐるしく変わる中、高橋はそれに戸惑うよりも、自信に変えられている。コート内外での彼の変化を周囲も感じている。日本代表の中垣内祐一監督はこう語った。
「普段の態度や、練習中の様子、プレーの安定度がいいふうに変わっていっている。オリンピックに出ての成長が見られるな、自信になったんだろうなと感じます。
私が言うのもなんですけど、彼はインスタのフォロワーが大変なことになっていますが、その数字を(周囲が)おちょくって笑いにつながる会話になったり、今までは私が言う事に対して『ハイ!ハイ!』という感じだったのが、軽口もたたけるようになってきて、会話の端々に余裕を感じるようになりました。先日ハタチになりましたけど、人間的に日々大人になってるなという印象はあります」