「雑草魂で頑張ります」高橋藍20歳に備わる“悔しさをバネにする力”…飛躍的な成長の理由とアジア選手権で見えた手応え

　意気込みも責任感も、自信も、悔しさも、ストレートに表現する。高橋藍（日本体育大学）はプレーも言葉も爽快だ。

　9月19日まで千葉県で開催された男子バレーボールのアジア選手権で、日本は決勝に進出し、2チームに与えられる来年の世界選手権の出場権を獲得したが、イランに敗れ準優勝に終わった。

　高橋は決勝で好守備を連発し、スパイク、サーブでも主将の石川祐希（パワーバレー・ミラノ）と並ぶチームトップの16得点を挙げ奮闘したが、優勝には届かず。「イランは年齢が近い選手が多いので、すごく刺激になりますし、負けられないという気持ちがより一層強くなりました」と語った。

　石川が背中を痛めたため最初の2戦を欠場した際、気を吐いたのが、9月2日に20歳になったばかりのチーム最年少、高橋だった。

「頼れるエースの石川選手がいない中で、誰が決め手になるかといえば、自分だと思っていた。自分自身がやらないと、という責任感はすごくある。プレーで自分がしっかり引っ張っていきたい」

　まっすぐに前を見据えて、淀みなく言い切った。最年少だからといって、後ろからついていくという選択肢は高橋にはない。

芽生える責任感「自分がリーダーシップを」

　今大会は、東京五輪のメンバーからオポジットの西田有志（ビーボ・ヴァレンティア）、清水邦広（パナソニックパンサーズ）、セッターの関田誠大（クプルム・ルビン）が抜け、今回が初の代表戦となったオポジットの宮浦健人、ミドルブロッカーの福山汰一（ともにジェイテクトSTINGS）を含む5人が加わった。

　その中で高橋は、五輪経験者としての自覚をプレーと振る舞いで表現した。

「自分自身、オリンピックやネーションズリーグに出場して、経験したことというのはすごく大きい。今大会、周りに新しいメンバーが増える中で、経験値というところでは（新しいメンバーとは）差があるので、それを自分が力に変えないといけないなという責任感がある。自分自身が経験したことを発信して、しっかりとリーダーシップをとっていかないといけない、という思いがあります」

　五輪後に合流したメンバーが先発の半数以上を占めた第2戦は、格下のバーレーンに第1セットを奪われるが、高橋が勝負どころのスパイクを決めて鬼気迫る表情でガッツポーズを見せるなど、「自分が引っ張るんだ」という意気込みを全身で表し、流れを変え逆転勝利。スパイク決定率は7割を超え、両チームトップの26得点を挙げた。

　第3セットの20－19の場面では、強力なサーブを打ち込んでエースを奪い、競り合いから抜け出した。

「あの時は、ミスを恐れてはいなくて、そもそも失敗するということがまず頭になかった。点数的にすごく拮抗していたので、自分が取って、1点前に出て、チームに余裕をもたせたり、勢いに乗せたいという気持ちはすごくありました」

　そう振り返る表情は自信にあふれていた。この約3カ月半がいかに濃密だったかを物語っていた。

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