プロ野球PRESSBACK NUMBER
前半戦1位阪神、2位巨人→過去3度すべて巨人の逆転V…矢野監督「未来は変えられる」今のタイガースには“トラウマ”がない?
text by
豊島和男Kazuo Toyoshima
photograph bySankei Shimbun
posted2021/09/03 11:03
巨人・原辰徳監督とメンバー表を交換する阪神・矢野燿大監督。9月2日終了時点で首位・巨人とのゲーム差は「0.5」となっている
昨季は連覇を果たした巨人に対して最終的に7.5ゲームの大差を付けられてセ・リーグ2位で終了。悔しさと反省をバネに今季は開幕から見事なロケットスタートを飾った。その後も春先の好調を維持したまま梅雨、そして真夏の時期も無事に通過。前半戦の84試合を消化して2008年以来、13年ぶりに首位ターンに成功し、2位巨人には2ゲーム差を付けて勝負の後半戦を迎えた。
実は阪神にとっては“史上初”の快挙に挑むシーズンとなる可能性がある。
前半戦を首位でターンした過去8度のうち優勝は3度ある。だが、今季と同じく阪神が1位、巨人が2位で前半戦を終了したシーズンは過去に72年、76年、08年の3度あり、そのすべてで巨人が逆転優勝を果たしている。
ADVERTISEMENT
直近で阪神が優勝した85年、03年、05年はいずれも巨人に勝ち越しているが、85年と03年は3位に甘んじ、05年は5位に低迷していた。現在の2リーグに分裂した50年以降を見れば、阪神が1位、巨人2位の順位でシーズンが終わったことは一度もない。
「要は、これまで巨人と優勝争いをしたシーズンはすべて負けている。巨人に勝ち越すことが優勝の大きな条件となっていることは事実」
こう力説するのは、球団の歴史を知る生え抜きOB。巨人戦の対戦成績がペナント奪回への鍵を握っていることを物語っており、簡単に言えば巨人戦で勝利しなければ「優勝」の2文字は見えてこないということなのだ。
通算2000試合到達、受け継がれる「闘志」
今年の5月15日には伝統の一戦が通算2000試合目を迎えた。初対戦は日本にプロ野球が発足した36年の7月15日。当時、愛知県名古屋市昭和区にあった「八事山本球場」で行われた試合は、8対7で阪神が記念すべき1勝目を飾った。24年に「第1回全国選抜中等学校野球大会」が開催された「センバツ発祥の地」から戦いの歴史が始まったのだ。
偉大な先人たちが死力を尽くして戦ってきた舞台である“伝統の一戦”。初代「ミスタータイガース」と呼ばれた藤村富美男、そして村山実や掛布雅之だけでなく田淵幸一、江夏豊ら数多くの選手たちが巨人戦を特別視してきた。
その遺伝子は現役選手にも刻み込まれているようで、梅野隆太郎、秋山拓巳、大山悠輔、近本光司ら攻守の柱も王者との戦いに闘志を燃やしている。