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田中碧とアペルカンプ真大は“宇佐美貴史&原口元気の再来”になれるか〈昇格を目指すデュッセルドルフ“日本コンビ”再び〉 

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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photograph byGetty Images

posted2021/08/31 11:05

田中碧とアペルカンプ真大は“宇佐美貴史&原口元気の再来”になれるか〈昇格を目指すデュッセルドルフ“日本コンビ”再び〉<Number Web> photograph by Getty Images

東京五輪を経てドイツの舞台で戦う田中碧。アペルカンプ真大とともに1部昇格を狙う

 今季ここまでリーグ4試合中3試合でスタメン出場。昨季は中盤の様々なポジションで起用されたていたが、「プロイサー監督は、はっきりインサイドハーフとして見ていると話してくれている」との言葉通り、キール戦でもインサイドハーフでスタメン出場した。

 昨季、アペルカンプに話を聞いたとき、自身の特徴について「創造性のあるところ。中盤の選手として、いつも相手が考えていないことをやりたい。いいパス、いい動きでゲームをコントロールしたい。ボールを持ったら、このチームでもいろんなことができる」と自信を見せていた。

 いまは、相手選手を外してボールを受ける動きも上手くなっていると感じる。距離感や詰めてくる相手のスピードを把握して、上手く対応できていると言った方が適切だろうか。相手に対して優位に立てるボールのもらい方ができているので、慌てずに効果的なパスやドリブルで攻撃にリズムを加えている。

スタッフが興奮のあまり……

 そんなアペルカンプに加え、今季チームの中心として期待されているのが田中碧だ。

 58分、アペルカンプがピッチを去り、交代で田中がピッチに立つ。ハーフタイムにほかの控え選手と3人でパス回しをしていたが、その時から鋭いパスをビシビシと蹴っていた田中は、左インサイドハーフですぐにゲームへ関わっていく。

 味方からのパスをどんどん引き出し、鋭く正確なパスと縦への推進力のあるドリブルで攻撃をけん引。センターから右ハーフスペースに入ったところでパスを受けてシュートを放ったり、相手陣内でボールを奪い、その後相手のプレスを受けながらも失わず好パスをつけたりと、説得力のあるプレーを見せていく。

 だからだろう。パスがどんどん集まってくる。田中に預けてから周りが動き出すシーンが多かった。初めての試合とは思えない。87分には田中の鋭いCKが起点となり、こぼれ球に反応したペテルセンが右足を振り抜いて同点に追いついた。

 記者席に座っていたデュッセルドルフの分析スタッフが興奮のあまりアクリルボードを何度も机に叩きつけて大喜びしていたほどだ。

 デュッセルドルフはその後も猛攻を仕掛け、田中も惜しいシュートシーンがあったが、引き分けのまま試合は終わった。

デビューの田中に監督は…

 プロイサー監督は田中のデビュー戦に関して「アオは遅い段階でチームに合流している。オリンピックでは全試合でスタメン出場してきたわけなので、チームではもちろん負担の調整について話がされている。新しい言語、新しい文化になじむ時間も必要だ。同時に彼がチームにとって助けになることはトレーニングを見ていてもわかる。今日の試合でもいいプレーを見せてくれた。とても満足している。守備で2度素晴らしいボール奪取のシーンもあった。パフォーマンスはよかった。それでも辛抱強く慣れていくことが求められるだろう」と、慎重に出場機会を増やしていく姿勢を感じさせた。

 記者会見で、アペルカンプと田中が中盤センターでコンビを組む可能性について尋ねた。

【次ページ】 ”宇佐美貴史&原口元気”を継承できるか?

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