敦賀気比・渡辺は急きょ、出番が回ってきた。3年生の正捕手・長尾朝陽が打席で人差し指を痛め、5回からマスクをかぶった。

　3年生のエース・本田克と、なかなかサインが合わない。1死を取った後、京都国際の7番打者に対し、本田はカウント0ボール2ストライクから4度首を振る。投球は外角に大きく外れる。4球目も2度首を振って、選んだのはカットボール。ライト前に弾き返された。続く打者との対戦でもスムーズにサインが決まらない。カウントを悪くして安打を許すと、本田は降板した。

2年生で捕手を任されるのは期待度の表れ

　高校野球では、ごく一部のチームを除いて、バッテリーを中心とした守りの野球を掲げている。複数の投手でチームをつくる傾向が強くなり、捕手の役割は重要度を増している。そのポジションを2年生で任せられるのは、大きな期待の表れといえる。

©Hideki Sugiyama

　智弁和歌山に敗れた石見智翠館の上は「甲子園で3試合やっていい経験になりました。もう一度来たい気持ちになりました」と前を向いた。

　プロ野球の歴代の名捕手は口々に言っている。捕手にとって、経験は何よりの財産だと。

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