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欧州で大ブレイク+W杯出場→W不倫疑惑や離婚など大モメ私生活… 超人フッキ35歳、漫画みたいな傍若無人さ〈プレーは円熟〉 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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posted2021/08/20 11:02

欧州で大ブレイク+W杯出場→W不倫疑惑や離婚など大モメ私生活… 超人フッキ35歳、漫画みたいな傍若無人さ〈プレーは円熟〉<Number Web> photograph by JMPA

セレソン、W杯出場まで上り詰めたフッキ。35歳の今もブラジル国内で存在感を発揮している

ロシアで冷酷な扱いを受けたがW杯へ

 彼が破格の高給を手にすることに、ロシア人の中心選手たちが強い嫌悪感を抱いたのだ。

「これほどの大金を費やして獲得する必要があったのか」とクラブ関係者に抗議し、フッキにも冷たい目を向けた。さらに、サポーターも「我々のチームに黒人選手はいらない」などという人種差別意識に満ちた言葉でクラブ首脳を批判した。

 フッキは、アウェーではもちろんのこと、ホームでもサポーターから罵声を浴びせられ続けた。当時は何を言われても顔色を変えずにプレーしていたが、後になってブラジルメディアに「人生であれほど悲しかったことはない」と打ち明けている。

 ロシアでは冷酷な扱いを受けたが、それでも歯を食いしばってプレーし続けた。その甲斐あって、母国で開催される2014年W杯の出場登録メンバーに選ばれた。

 フッキは「人生最大の夢が実現した」と喜び、親族、友人ら数十人を試合に招待。大型バスを仕立て、彼らを故郷から試合会場まで運んだ。

 ところが、これらのことが力みにつながったのか、自分の特長を発揮できない。セレソンは、準決勝でドイツに1-7という歴史的大敗を喫し、3位決定戦でもオランダに完敗して4位。自身も、6試合に出場しながらノーゴールという不本意な結果に終わった。

 それでも、フッキは再び立ち上がる。続く2014ー15シーズン、ロシア・リーグで15得点をあげてリーグ優勝を達成し、自らも得点王とMVPに輝いた。

 ゼニトでの活躍でフッキへの評価はさらに高まり、再び欧州ビッグクラブからオファーが舞い込んだ。しかし、またしても彼はキャリアよりも条件面を優先する。2016年6月末、移籍金5580万ユーロ(約73億円)、推定年俸2000万ユーロ(約26億円)で中国リーグの上海上港(現・上海海港)へ入団した。

中国では監督と大ゲンカして退団

 フッキは、中国でもまずまずのプレーを披露し、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)では古巣の川崎F、浦和レッズ、鹿島アントラーズなどを苦しめた。

 その一方で、またしても問題児ぶりを発揮してしまう。

 昨年11月末、ACLの横浜FM戦で途中交代を告げられて激怒。監督が握手を求めたのを拒絶し、「あんたとはこれで終わりだ」と叫んでロッカールームへ引き揚げた。以後はチーム練習に参加せず、試合への出場も拒否。クラブが契約延長を望んだが撥ね付け、12月末、契約満了で退団した。

 以後、欧州、アジアなどの多くのクラブからオファーを受けたが、今年1月、ブラジルの名門アトレチコ・ミネイロへ入団した。

 フッキが母国でプレーするのは、17年ぶり。すでに34歳とあって、大きな期待はかけられていなかった。

 年初の州選手権では、10試合に出場して2得点。3月の試合でドリブルをしていて、体を寄せてきたマーカーを右手で突き飛ばし、その選手が数メートル吹っ飛んだことが話題になった。

【次ページ】 リベルタドーレス杯と国内リーグでゴール量産

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