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「極上の悔しさを…」旅立つヤングライオン2人に立ち塞がったオカダ・カズチカ、内藤哲也という“圧倒的な壁”《新日本プロレス壮行試合》 

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原壮史

原壮史Masashi Hara

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photograph byMasashi Hara

posted2021/08/20 11:00

「極上の悔しさを…」旅立つヤングライオン2人に立ち塞がったオカダ・カズチカ、内藤哲也という“圧倒的な壁”《新日本プロレス壮行試合》<Number Web> photograph by Masashi Hara

8月1日に開催された新日本プロレス後楽園ホール大会の壮行試合にて、オカダ・カズチカに対して閂スープレックスを狙う上村優也

 オカダは上村に対して格の違いを見せつけて勝つと、試合後にドロップキックを披露した。基本的な技でありながら、オカダの代名詞の1つでもあるスペシャルなものだ。

 試合内容だけでなくここでも現時点での圧倒的な差を感じさせたが、それは同時に、このレベルまで来いよ、という粋なメッセージでもあった。上村はリングを降りるとエプロンを両手で叩いて悔しさを露わにした。その様子はデビュー戦の後と同じだった。この悔しさからまた始まるのだ。

 一方、辻の対戦相手を務めた内藤は、Tシャツではなく白いスーツ姿で入場してきた。それは、これが特別な試合であることを辻と観客に強く印象付けるものだった。

 そして、ヤングライオンを象徴する技でもある逆エビ固めで辻を破った。試合後には「辻がどこかのインタビューで、内藤に負けるならデスティーノで負けたい、って言ってたの、俺は知ってるよ」と明かしたが、それを出すことはしなかった。特別な試合ではあるけれど、それはあくまでヤングライオンとしての、ということだ。辻の悔しさがより大きくなったことは想像に難くない。「いつかデスティーノを出すのに相応しい相手となることを願っているよ」と言う内藤はどこか楽しそうだった。

「極上の悔しさ」が、今後の2人を強くする

 海外遠征は、これまで守られていた自分の無力さを感じ、その中で生き残り、這い上がり、生きざまをリングに投影して戦うことができるようになるための機会だ。そこで大きな役割を果たすのが悔しさだ。これまでのようには守ってもらえない中で、悔しさは成長の原動力になり、苦しい時の支えにもなる。

 ヤングライオンのままでは追いつけない圧倒的な差を埋め、そして追い越す。そのきっかけを得ることができるかもしれない貴重なチャンスを与えられた2人は、最後に極上の悔しさを味わったことで、きっと我々の想像以上の成長を果たすことだろう。

 日本で待つファンを凱旋の日にどう驚かせてくれるだろうか。

 今は容易に海外マットの詳細な情報を得ることができるが、いつか訪れる凱旋の日まであえてヤングライオンのイメージのままで止めておくことも楽しみ方の1つだろう。

【2021年8月1日 後楽園ホール〈新日本プロレス:SUMMER STRUGGLE 2021〉 第1試合 ○オカダ・カズチカ(12分19秒 マネークリップ)●上村優也 / 第2試合 ○ 内藤哲也(11分24秒 高角度逆エビ固め)●辻陽太】

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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