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久保建英のコーチ中西哲生に聞く“2季ぶりのマジョルカ復帰”「なぜレンタル料なし?」「何が求められている?」
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2021/08/13 17:04
2季ぶりのスペイン1部リーグ・マジョルカ復帰が発表された久保建英(2020年撮影)
「久保が在籍していた当時と、マジョルカの陣容はあまり変わっていません。アジャストしやすいのは間違いない。環境を知っていることもプラスに働きます。一昨シーズン当時、『ここではサッカーに集中できるし、生活していくうえでもすごくいい場所です』と話していました。たとえば練習場へ通う道を知っているだけでも、ずいぶんと落ち着くものです」
守備のタスク量があっても「5得点10アシストは今なら可能」
一昨シーズンとの違いは監督だ。20-21シーズンに就任したルイス・ガルシア監督は、レバンテを1部昇格へ導き、ヘタフェを残留争いに巻き込ませずに1部に残留させるなど、中位から下位のクラブで実績を残してきた。1部残留が目標となるマジョルカには、うってつけの監督と言える。
角度を変えて見ると、アタッカーが数字を残すには難しい環境かもしれない。守備のタスクを確実に実行することが、ピッチに立つ大前提となるからだ。レアル・ソシエダへの移籍を支持する声が聞かれたのも、守備のタスクの量を気にしてのことだっただろう。
それでも、中西氏は前向きな要素をあげる。
「1部に昇格してきたばかりのチームですから、残留のために現実的なサッカーをすることは予想されます。アタッカーの選手も守備に追われる時間が長くなるでしょうが、同じく残留が目標だった一昨シーズンの経験が生きるはずです。チャンスクリエイトをしながらフィニッシャーになるという仕事で、チームの残留から逆算すると5得点10アシストがひとつの目安になるのでは。前回の在籍時は4得点4アシストでしたが、チャンスクリエイトの数からすれば2ケタのアシストを記録してもおかしくなかった。監督がどんなサッカーをするのか、監督からどんなタスクを課せられるのかは、これから見ていく必要がありますが、今の久保であれば、5得点10アシストは十分に可能な数字だと考えます」
五輪の悔しさをバネに「代表レギュラー獲得へ」
ヨーロッパ各国の新シーズン開幕とともに、国際試合のカレンダーも動き出す。カタールW杯アジア最終予選が、9月からスタートするのだ。ラ・リーガ1シーズン目の前回在籍時は9月、10月にW杯アジア2次予選を戦う日本代表に、11月にはU-22日本代表に招集されたため、シーズン前半戦はスタメンに定着しきれなかった。ヨーロッパでプレーする代表選手の宿命と、久保は2シーズンぶりに向き合うことになる。