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妻との入籍日は松田直樹の命日《8月4日》…飯田真輝35歳はなぜ「マツさんの思い」を“勝手に受け継いだ”のか
posted2021/08/05 17:02
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
NARA CLUB
松田直樹がJFLの松本山雅時代に期待を懸けていた男がいた。
「飯ちゃんはJ1で通用するんじゃないかって思うよ。あのポテンシャルを活かしてやりたいと思うんだ」
187cmの長身を武器に空中戦には滅法強い屈強なディフェンダー。だが当時はまだまだ荒削りな部分が目立っていた。
松田の見立ては当たっていた。
彼の心のなかにはずっと「マツさん」がいる
2011年シーズン、J2昇格に貢献して、翌年から就任した反町康治監督のもと守備の柱として最終ラインに君臨していく。
J2で6シーズン、J1で2シーズン、山雅の砦を担ってきた。しかしまたしても1年でJ2逆戻りとなってしまった2019年限りで契約非更新となり、元チームメイトの北村隆二が監督を務めるJFLのFCマルヤス岡崎に移籍。36歳になる今季はスペイン人のフリアン監督が指揮を執る奈良クラブへと渡っている。
7月31日、ロートフィールド奈良。
古巣であるマルヤスとの対戦は後半途中に雷のために中止となってしまったが、その迫力あるファイトぶりは健在だった。コーナーキックからの惜しいヘディングシュートもあった。まだまだ俺はやれる。プレーからはそんな自己主張が聞こえてくる。
松田とともにプレーしたのは7カ月ほどしかない。
だが松田直樹との出会いがなければ今の飯田真輝はなかった。急逝から10年。彼の心のなかにはずっと「マツさん」がいる。
飯田はこう振り返る。