山田曰く、東京五輪まで（当時）あと1年、となったとき突然、自分自身のなかで“鐘が鳴った”のだという。

「（履正社）高校時代も、それまで野球選手になろうなんて全然思っていなかったのに、3年生になった途端、急にスイッチが入った。あと1年、死ぬ気で頑張って絶対にプロに入るって。それで叶えたから。（今回も）生きてるうちに東京で五輪なんて二度とないと思ったら、絶対に出たいっていう気持ちが湧いてきた」。そんなことを話していた。

稲葉監督は「もう一皮剥けてほしい」

　しかし当時の山田は、実際には当落線上だった。「二塁」は菊池（広島）、「1番」は後にメジャー入りする秋山（レッズ）や坂本（巨人）が候補にいた。打席の中で動きが大きいフォームが、外国人投手の球筋には弱いのでは、という見方もあった。稲葉監督の口からは「あえて厳しいことを言うと、もう一皮剥けてほしい思いがある」という言葉が出ていた。その“もう一皮”とは、指揮官が重要視する日本代表としての自覚や情熱、リーダーシップであることは明らかだ。

メキシコ戦で3ランHRを放った山田を迎え入れる稲葉監督©KYODO

山田が稲葉監督にかけた“誓いの電話”

　そこからの山田の猛アピールは凄まじかった。

　スーパーラウンドに勝ち進んで迎えたプレミア12の韓国との決勝戦では、2点ビハインドから逆転3ランを放ち、侍ジャパンを世界一に導いた。さらに、チームが解散した翌日、山田は稲葉監督の携帯電話に直接電話をかけている。

「いい経験をさせていただきました！　東京五輪で代表に選んでいただけるように頑張ります！」

　そう、決意を伝えたのだという。

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