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《まさかの敗退》世界1位・桃田賢斗26歳に何が起きた? 私たちは「償いの金メダル」の美談を求めすぎていなかったか
text by
鈴木快美Yoshimi Suzuki
photograph byJIJI PRESS
posted2021/07/29 20:00
東京五輪、バドミントン男子シングルス1次リーグで敗れた桃田賢斗
だから、もうこれ以上、桃田に型にはめた善人になることを求めてはいけない。十分すぎるほど過去の過ちに向き合ってきた。この敗戦を機に本来の自由奔放なプレーを全開させていい時期だ。心の軽やかさをスパイスにして、凄みのあるプレーを生むことができる天才肌である。
3年後、パリ五輪で29歳になる桃田が、東京で味わった屈辱を晴らすには、“らしさ”を取り戻すことから始まるはずだ。
ちなみに、五輪の男子シングルスの歴史で、とりわけ偉大といわれる04年金のタウヒック・ヒダヤット(インドネシア)、08年、12年金の林丹(中国)も初めての五輪は第1シードに座りながら道半ばで敗れている。それを思えば、桃田がいま歩んでいるのも王者の道に違いない。