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《まさかの敗退》世界1位・桃田賢斗26歳に何が起きた? 私たちは「償いの金メダル」の美談を求めすぎていなかったか

posted2021/07/29 20:00

 
《まさかの敗退》世界1位・桃田賢斗26歳に何が起きた? 私たちは「償いの金メダル」の美談を求めすぎていなかったか<Number Web> photograph by JIJI PRESS

東京五輪、バドミントン男子シングルス1次リーグで敗れた桃田賢斗

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鈴木快美

鈴木快美Yoshimi Suzuki

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 世界ランキング1位の桃田賢斗の初めてのオリンピックは、第1次リーグ敗退という結果で終わった。

 世界38位の許侊熙(韓国)との戦いで目立ったショットはロブ。1ゲーム10ー5と大きくリードした場面から、桃田らしい繊細なネットプレーは減り、アンダーハンドから奥へと上げるロブを連打した。普段なら深く高く返して守ったり、攻めにも使えるショットだが、この一戦では浅さが目立ち、集中砲火を浴びて10連続失点という結果を生んだ。

 2ゲームもまた、後半からふたたび浅いロブが目立ち、0-2のストレート負け。敗戦後、「最後まで自信を持ってプレーすることができなかった」という言葉が報じられた。

 開会式で五輪旗を運ぶ大役まで務めたスターのまさかの敗戦だが、戦前、桃田が金メダルに到達できるのか、不安視する声はたしかにあった。だが、20年1月、マレーシアでの交通事故で右眼窟底骨折を負い、その後、実戦を重ねられなかった影響が大きかったといいたいわけではない。

 ジンクスのようなものだが、バドミントン界にはいまも男子シングルスの世界1位はオリンピックで勝つのが難しいという見方が根強く残る。1992年のバルセロナ五輪で正式種目入りしたバドミントンは、今回で8回目を迎えるが、第1シードが順当に優勝したのはわずか1回、勝率は12.5パーセントだ。

 加えて2012年ロンドン五輪では、当時、世界8位で日本初のメダルが期待された田児賢一が48位のスリランカ選手に敗れて予選リーグ敗退に終わった悪夢も経験している。

 それだけにオリンピックでは、第1シードやエースに特別な重圧がかかるという認識が日本にはあり、世界1位だからこそ、桃田は大丈夫かと慮る声が多かった。くしくも懸念は的中した。

田児賢一「強くなったけど、よさが少なくなりましたね」

 2019年にはワールドツアーで年間最多11勝を挙げた桃田が、オリンピックで金メダルに到達できなかった理由をあえて探るなら、やはり16年の違法賭博問題で無期限競技会出場停止処分を受けたことまで遡れるだろう。

 同年4月、世界ランキングで自己最高を更新する2位をマークした桃田だが、問題が生じたことで、日本協会は桃田をリオデジャネイロ五輪に推薦・派遣しないことを決定し、桃田は謹慎期間に入った。

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