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「シンクロした4枚攻撃ができている時の日本は…」バレー女子のカギ握る20歳セッター籾井あき 中田久美、吉原知子が重宝する理由は?
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byAsami Enomoto
posted2021/07/25 11:02
所属するJTでの活躍もあり、日本代表でもレギュラーの座を掴んだセッター籾井あき(20歳)。本大会では背番号12をつける
そんな籾井にとって、JTでもチームメイトである小幡真子、林琴奈も五輪メンバーに入ったことは心強い。特にJTで主将を務めるリベロの小幡は、中田監督から籾井の世話係を任され、ネーションズリーグ中は同室だった。小幡は、「私だから言えることもあると思う」と話す。
「彼女は本当に負けたくない性格で、自分が絶対に勝たせる、という熱いものを持っている人。その分、ちょっとでもうまくいかないと、ちゃんと悩んで、ちゃんと解決しようとする。それに対して、ちょっとここを変えていこうか、というような話をします。
セッターとリベロとして、JTでも一緒にやらせてもらっているので、喋らなくても、彼女が今どういうことを考えているとか、癖もわかっている。ネーションズリーグでは、後半、相手が籾井のトスワークに慣れてきている感じがしたので、1本目を上げる時に間を作って、籾井に相手ブロックを見る余裕を持たせる、という意識をしました」
2019年に日本国籍を取得
まもなく、籾井は日の丸をつけて五輪の舞台に立つ。籾井にとっては“選んだ”日の丸である。
籾井は生まれも育ちも日本だが、両親はペルーにルーツがあり、籾井もペルー国籍だった。中学3年生の時に一度、日本のアンダーカテゴリーの代表合宿に参加したが、ペルー国籍の自分は選考の対象にはならないとわかっていた。
八王子実践高校に入学後、チームメイトが世代別の代表に呼ばれる姿を見るうちに、心境に変化が生じた。
「『自分はいいよー』と思いながらも、たぶん少しは『行きたい』という気持ちがあって……。そういう気持ちを監督に話したりするうちに、『あ、自分は、日本人としてやりたいんだな』と気づいた。そこから(帰化のための)手続きを始めました」
それから2年以上かかったが、2019年12月に日本国籍を取得した。
「日本だけでは(申請に必要な)書類が集まらなくて、海外の親戚にも助けてもらって、獲得できたものなので、家族や、サポートしてくれた方々への感謝の気持ちを、バレーボールで伝えたいという思いがあります。日本人として戦うと決めて、そのために日本国籍を選んだので、日本人の代表として、頑張りたい」
7月25日、籾井は自ら選び、選ばれた日の丸を胸に、コートに立つ。
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