バレーボールPRESSBACK NUMBER
「シンクロした4枚攻撃ができている時の日本は…」バレー女子のカギ握る20歳セッター籾井あき 中田久美、吉原知子が重宝する理由は?
posted2021/07/25 11:02
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Asami Enomoto
「これができている時の日本は強いな、と実感しました」
6月末までイタリアで開催されたネーションズリーグから帰国後、バレーボール日本代表のミドルブロッカー島村春世(NECレッドロケッツ)は、声を弾ませた。
「これ」とは、シンクロした4枚攻撃のことだ。島村はこう続けた。
「私の囮にブロックが跳んでくれて、他の人が1枚(ブロック)の状態で攻撃できたり、バックアタックにブロッカーがつられて、私が楽に打てるという場面が結構あった。自分が(助走に)走っている時に、バックアタックの選手が後ろから来ているのが視界に入ってきて、『あ、今来てる!』って、一緒に動いている感覚をリアルタイムですごく実感できました」
臨場感たっぷりに語る様子からは手応えが伝わってきた。
ネーションズリーグの特に前半戦は、日本代表が目指してきた速いテンポでの4枚攻撃が機能している場面が多く見られた。サーブレシーブが安定し、パイプ攻撃(コート中央エリアからのバックアタック)を得意とする古賀紗理那(NEC)と石川真佑(東レアローズ)の2人がアウトサイドに入っていたことも大きい。
そして核になっていたのが、今年代表初選出のセッター、籾井あき(JTマーヴェラス)だった。
籾井のテンポが一番理想に近い
日本代表の中田久美監督は、「ワンフレームに収まるバレー」を掲げ、1本目(サーブレシーブ、ディグ)からの速い攻撃展開を求めてきたが、これまで思うように結果につながっていなかった。しかし今年のネーションズリーグ後、「イメージ的には、籾井のテンポだと思います。籾井が、自分の感覚の中では(理想に)一番近いトスを上げ続けてくれたなと思っています」とうなずいた。
パイプ攻撃を積極的に使えることも籾井の持ち味だ。それはJTに入団後の2年間で身につけた。