【野手編5】「大型遊撃手」セガサミー・中川智裕（23歳）

　同じ内野手で、ちょっと打てるようになったか！と嬉しかったのが、セガサミーの大型遊撃手・中川智裕（23歳・188cm82kg・右右・近畿大）だったのだが、

「そう思うでしょ、僕もそう思った。早いカウントから、パチン、パチン！とライトフェンス際とセンター前。去年まではそれが出来なかった。おっ！と思ったでしょ。でも、ケチつけてもいいですか。じゃあ、警戒されて、上手に追い込まれてからどうなのか？　コロッと2三振ですよ。まだ、そこまで行ってない。いっぺんに両方っていうのもなかなかだし、もともとフィールディングのセンスはある子だからね。バッティングにいくらか“キバ”が見えてきたのが収穫。もう1年見たいなぁ」

【野手編6】「外野No.1でしょう」NTT西日本・藤井健平（23歳）

　この春の連休明け、この連載コラムで、「2021ドラフト中間報告」として、「投手」「野手」に分け、高校、大学、社会人……すべてのカテゴリーを合わせて「ベストテン」のランキングを行なったことがある。

　そのランキングをおさらいしてみると、こんなふうになる。

　1位　正木智也・内野手・慶應義塾大
　2位　藤井健平・外野手・NTT西日本
　3位　松川虎生・捕手・市立和歌山高
　4位　水野達稀・内野手・JR四国
　5位　花田  旭・外野手・大阪桐蔭高

　上位5人の中に、社会人野球から2人の選手を挙げた。

　自分としては、もちろん何度もプレーを確かめた上で、確信を持ったリストアップだったのだが、社会人2選手については、当時まだ無名の存在だったこともあり、いろいろな「反響」をいただいたものだ。

　それだけに、NTT西日本・藤井健平、JR四国・水野達稀、2人とも出場するこの日本選手権は、私にとっても、ちょっとした「試金石」となる大会でもあった。

「それにしても、藤井の“2位”いうんは、ちょっとやり過ぎと違いますか」

　コラムを読んだというあるスカウトからは、そんなふうに笑われた。

　NTT西日本・藤井健平外野手（23歳・175cm75kg・左左・東海大）は、セガサミー戦に「3番ライト」で出場していた。

「確かに、身体能力的には超人的なものがありますけどね（50m5秒7、遠投120m）、バッティングは波あるし、あの体格で伸びしろどれぐらいあるか……左投げやから、外野か一塁でレギュラー獲れるかって、ちょっとイメージ湧かないですよ」

　この試合、確かにバッティングには精彩を欠いていた。結果を出そうとして、あわてて打っているように見えた。早く打ちたくて、彼本来の自分のポイントまで呼び込んで、強烈にひっぱたく……関西の言葉でいうと、「しばく」バッティングになっていない。

　しかし2度の場面で、「やれる…」の確信を得た。

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