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「今のプロ野球は1、2番タイプの野手ばかりで…」プロ野球スカウトのリアル評価 今秋ドラフト候補《7人の社会人野手》

posted2021/07/24 17:05

 
「今のプロ野球は1、2番タイプの野手ばかりで…」プロ野球スカウトのリアル評価 今秋ドラフト候補《7人の社会人野手》<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

今秋のドラフトで注目の候補、NTT西日本・藤井健平外野手(23歳・175cm75kg・左左・東海大)

text by

安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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Sankei Shimbun

 今秋10月11日に行われるドラフト会議。野手の候補は誰なのか? 社会人日本選手権で、プロ野球スカウトのリアル評価を聞いた(社会人投手編はこちら)。

【野手編1】「24歳やったら獲れるのになぁ」NTT東日本・向山基生外野手(25歳)

「ええ選手やけど、外野手やし、とんでもなく足が速いわけでなし、とんでもなく肩が強いわけでもなし、せっかく大きい会社で働いとるんやから、まあまあ、そっとしとこうかと、そんな感じやったと思いますよ、どこの球団も。それで去年見送って、今年見たら、また良くなってる……ほんなら行こかとも思うけど、25でしょ。24でこれやったら獲れるのになぁ……って、そういうことが、何度かありますなぁ」

 オープニングでいきなり長くなったが、これ、あるスカウトのNTT東日本・向山基生外野手(25歳・184cm82kg・右右・法政大)についての「嘆き」である。

 社会人野球の名選手(熊谷組)を父親に持ち、1年目の一昨年からリードオフマンやクリーンアップで奮戦。走・攻・守、高いレベルで備わったユニフォーム姿のシュッとしたスター性十分の外野手である。 

 社会人野球の24歳と25歳。たった1歳違いでも、プロではその差がとても大きいと言う。

 社会人の24歳は、プロ1年目が25歳。たとえば同い年で高校からプロ入りした選手は8年目で、ファームにもまだ何人かいるが、1年目が26歳になると、もう淘汰されていて、同い年の選手はほとんどが一軍クラス。つまり、25歳の社会人選手はいきなり一軍の戦力として働けるのかどうか……そんなシビアな目で選別しなければならないという。

 別のスカウトだと、「向山評」はこうなる。

「今の向山なら、十分いけると思いますよ。今日の内容だって、立派なもんでしょ。足元のツーシーム空振りして、インコース意識させられながら、外のカーブおっつけてタイムリーのセンター前。次が、ファールになったけど絶妙の一塁線スクイズで、仕上げが左中間のいちばん深い所に放り込んで。新人投手の代わりばなでしょ、カウント球待ち構えてガッツーン。実戦の中でこれだけ機能できれば……ね。肩も足も使えるし、右打ちでこれだけ揃ってる選手、なかなかいないですよ」

 ちょっと違う角度からの、こんな見方も興味深い。

【次ページ】 【野手編2】「動ける巨漢」大阪ガス・末包昇大右翼手(25歳)

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