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候補は5駅…「国立競技場どこが“最寄り駅”か」問題 JR千駄ケ谷駅に中央線快速が止まらないナゾ《東京五輪》
posted2021/07/23 11:03
text by
鼠入昌史Masashi Soiri
photograph by
Masashi Soiri
東京で行われる2回目のオリンピックが、ようやく開会式の日を迎えた。いろいろのゴタゴタやどの競技で日本人選手がメダルを獲りそうか、については別の記事を見ていただくとして、今回の主役はオリンピックスタジアム、である。
1964年のオリンピックでも、そして今回のオリンピックでも、メインスタジアムは国立競技場だ。建て替えられてはいるが、どちらも同じ場所にある(新旧)国立競技場。脇道に逸れそうなエピソードが今回のオリンピックには多すぎて困りものなのだが、とにかく国立競技場は2回目のオリンピックスタジアムを経験するのだ。
「国立競技場どこが“最寄り駅”か」問題
で、ここで問題がある。国立競技場、どの駅が最寄り駅なのか――。
この問題は国立競技場に限らず、同じく神宮外苑にある神宮球場などにも共通する悩みどころだ。国立競技場ならば、距離がいちばん近いのは都営大江戸線の国立競技場駅。その次にJR千駄ケ谷駅で、次いでJR信濃町駅もある。青山通り方面からならば少し歩くが地下鉄銀座線の外苑前駅、または副都心線の北参道駅という手もある。
つまり、“国立競技場に来るならこの駅を使ってくださいね”とばかりに設えられた駅は意外となくて、近隣のどの駅もどちらかというと“地味”な駅ばかりなのだ。中でも気になる存在が、千駄ケ谷駅である。都営大江戸線の国立競技場駅は千駄ケ谷駅の駅前にあるから、ほとんど同じ駅といっていい。つまり、千駄ケ谷駅が国立競技場の玄関口と言える。
JR千駄ケ谷駅には何がある?「将棋の駅でもあるんだなぁ」
ところが、この千駄ケ谷駅は中央線の各駅停車、黄色いラインの電車しか停まらない。いわゆる橙色ラインの中央線快速はさっそうと通過してしまう。おかげで利用者数(1日平均の乗車人員)も少なくて、2020年度はたったの1万141人。お客が少ないのはコロナのせいだろうとは想像もつくが、2019年度にしても1万6452人に過ぎない。
天下の国立競技場、6万人が集まるようなスタジアムの玄関口がそんなにちっちゃくていいのだろうか。駅の立場になってみても、普段はあまりお客がいないのに、何かあると急にたくさんの人が押し寄せてきてしまってアップアップになってしまうに違いない。今回のオリンピックに合わせてホームやコンコースが少し広くなったが、それでも5万人のスタジアムの最寄り駅にしてはどうにも小さい。いったい、どうしてこの千駄ケ谷駅が国立競技場の玄関口になったのだろうか。