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大迫傑に17秒届かず…マラソン“補欠”大塚祥平にとっての東京五輪「出番がなくとも、代替レースの予定はない」
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph byAFLO
posted2021/07/20 17:03
2019年に開催された、東京五輪の日本代表選考レースのMGCで4位となり、補欠に選出された大塚祥平
とはいえ、好不調の波は誰にでもあるもの。そこから大塚は不調に陥った。元日のニューイヤー駅伝は4区区間29位と振るわず、その後もなかなか調子が上がらなかった。
復調の兆しが見えたのは、5月に五輪テスト大会として開催された北海道・札幌マラソンフェスティバルだった。五輪本番のコース確認も兼ねてハーフマラソンに出場した大塚は、1時間1分56秒の好記録で7位に入った。
「4月の頭ぐらいまでは状態が良くなかったんですけど、4月中旬ぐらいから状態が戻ってきている感覚があった。もう1つ、2つ上の順位で走れれば、自分としても納得がいったんですけど、ある程度は自分の思ったような走りができたと思っています」
状態も好転し、自身に対して及第点を与えることができた。
そして6月からは本格的なマラソントレーニングに入り、御嶽高原(岐阜)、東御(長野)と場所を移しながら、練習を進めてきた。
「ハイペースになってもいいように準備をしつつ、暑くなって勝負重視のレースになっても戦えるようにしています」
大塚の口ぶりは自信に満ちているように感じる。トレーニングの内容にも、ホクレン・ディスタンスチャレンジの結果にも、充実感があった証でもあるのだろう。
五輪で出番がなくとも、代替レースの予定は立てていない
今の大塚であれば、突然の出番が回ってきても上位争いを繰り広げるのではないかと期待してしまう。もちろん代表3選手には何事もなく本番を迎えてほしいが……。
また、仮に五輪で出番がなくとも、代替レースの予定は立てていないという。ここまで良い状態に仕上げてきて、力を試す試合がないのはもったいない気もするが、つまりは、自分に回ってくるかどうかも分からない出番のためだけに、大塚は丹念に準備を進めてきているということだ。
「監督には、本番を走るつもりで予定を立ててもらっているので、補欠を解除されるまではしっかりと準備をしたいと思います」
健気にも映る“第4の男”の決意は固い。