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大迫傑に17秒届かず…マラソン“補欠”大塚祥平にとっての東京五輪「出番がなくとも、代替レースの予定はない」 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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posted2021/07/20 17:03

大迫傑に17秒届かず…マラソン“補欠”大塚祥平にとっての東京五輪「出番がなくとも、代替レースの予定はない」<Number Web> photograph by AFLO

2019年に開催された、東京五輪の日本代表選考レースのMGCで4位となり、補欠に選出された大塚祥平

大迫に遅れること17秒…東京五輪代表を逃した

 大塚は、東京五輪の日本代表選考レースのマラソングランドチャンピオンシップ(MGC、2019年9月に開催)で4位となり、東京オリンピックの補欠に選出された。

 このMGCは駒大時代の2年先輩でもある中村匠吾(富士通)、服部勇馬(トヨタ自動車)、大迫傑(Nike)の三つ巴になったが、大塚は3位の大迫から17秒遅れでゴールしていた。

 マラソンでもスピード化が叫ばれる中、大塚はタフさを武器に戦う選手で、駒大時代には箱根駅伝の5区・山上りで区間賞も獲得している。MGCでは上位3選手のスパートには太刀打ちできなかったものの、暑さのなか粘り強いレースを見せた。夏マラソンの五輪でも、存分に力を発揮できる選手だろう。

 しかし、その時点でのマラソンの自己記録は2時間10分台に過ぎず、最後の1枠をかけて挑んだ20年3月のびわ湖毎日マラソンでは中盤以降大きくペースダウンし、2時間15分36秒で30位と惨敗に終わっている(五輪内定を勝ち取るには、1週間前に大迫が東京マラソンで出した2時間05分29秒を破って、日本人トップになる必要があった)。悪条件に強いとはいえ、やはり代表を勝ち取った3選手とは力の差があるのは否めなかった。

 その後は、MGC4位の走りで五輪の補欠に選出されると、補欠としての責任感を持ちつつも、シンプルに強さを追い求めて、トレーニングに励んできた。

 そして、昨年12月の福岡国際マラソンでは、序盤の7.5km付近で転倒し脚から血を流しながらも、2時間7分38秒で走り切り、それまでの自己記録を大きく更新してみせた。順位は2位だったが、先頭争いから離れた後も粘り強いレースを展開し、35km以降のタイムは優勝した吉田祐也(GMOインターネットグループ)よりも速かった。これで、記録の上では先輩・中村の自己記録(2時間08分16秒)を上回った。

「正選手ではなくても、補欠でも」

「正選手ではなくても、補欠でも、まずは力を付けることが大事だと思う。1年間補欠という立場で、自分としては責任感っていうものを感じることができた。この1年間はマイナスになったことはないですし、多少のプレッシャーを感じたことはプラスになったと思っています」

 今年5月に大塚はこんなことを話していたが、自分のやるべきことにしっかりと向き合って、取り組んできた成果がタイムにも現れたのだろう。

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