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「箱根駅伝を集大成と考える選手がほとんど。しかし…」城西大監督・櫛部静二が“箱根の先”を学生に語り続ける理由「世界と戦うために」

posted2023/04/14 11:01

 
「箱根駅伝を集大成と考える選手がほとんど。しかし…」城西大監督・櫛部静二が“箱根の先”を学生に語り続ける理由「世界と戦うために」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

現在は城西大監督を務める櫛部静二氏

text by

加藤康博

加藤康博Yasuhiro Kato

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photograph by

Yuki Suenaga

かつて箱根駅伝で総合優勝を経験するなど活躍し、現在は城西大学の男子駅伝部監督を務める櫛部静二。箱根、そしてその先へと目を向け続ける櫛部の指導哲学を聞いた《NumberWebインタビュー全2回の2回目/前編からつづく》。

◆◆◆

 学生時代、櫛部静二にとって箱根駅伝は数ある試合のなかのひとつという位置づけだった。しかし1年時のブレーキというアクシデントは心の奥深くに傷跡として残り、以後の競技生活に影響を与えた。もしそのアクシデントが箱根以外の大会だったならば、そこまで尾を引くことはなかったはずと櫛部は言う。それだけ箱根とは周囲の期待と注目度の高い大会だ。だからこそ今の指導者は注意が必要だと櫛部は考えている。

「箱根に限りませんが、駅伝はもともとオリンピック種目へ向けた強化の手段であって、大会を通じて、競技力向上を目指すもののはずです。5000mや10000m、マラソンへとつなげる視点を持たないといけません。世界で戦える選手を育てることが大会創設の原点であり、指導者はその本質を理解しておくべきだと私は思います」

「箱根を集大成と考える選手がほとんど。しかし…」

 ほとんどの選手が箱根駅伝を走り、活躍することを目指して大学に入学する。そしてすべての選手が卒業後、競技を継続するわけではない。大抵は箱根を最終目標にし、限られた者だけが実業団で走り続ける現実があるが、それでも櫛部は「世界へ」と言い続ける。

「それが私の信念だからです。もちろん箱根駅伝を集大成と考える選手がほとんどです。しかし卒業後も競技を続ける選手は、箱根の先まで見据えた練習をしないことには、その後の成長はないと思うのです。私たちの大学はこれまで予選会で敗退し、箱根に出られない年もありましたので、“大学駅伝でも弱いのに、何が世界だ”という人も中にはいるかもしれません。ただ能力の高い選手が大学で心身共に燃え尽き、卒業後に競技力を伸ばせないのは本当に残念なことですので、そこはブレずに言い続けるつもりです」

【次ページ】 「世界と言い続ける」指導者としての信念

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