プロ野球亭日乗BACK NUMBER
またもや登録抹消、巨人・菅野智之の状態が厳しすぎる…東京五輪代表は“本人の決断待ち”か?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySankei Shimbun
posted2021/07/02 17:05
7月1日の広島戦で3回途中4失点、わずか32球で降板した菅野(左)
首脳陣は動きづらい。本人の決断はどうなるか?
1日の広島戦で菅野の投球を観た代表の建山義紀投手コーチはこう語る。
「もちろん彼の力を持ってしたら、あれ(広島戦でのピッチング)が、彼の実力というのは誰しもが思っていないところですから。ただまあ、重要なオリンピックメンバーとして、初戦まで4週間あるんで、そういった期間を彼ならきっとうまく活用してくれると思います。きょうの結果でどうこうというのは、僕の中にはまったくないです」
もちろん今の段階で多くを語れないのは、当たり前だろう。どうしても教科書的なコメントにならざるを得ない。その前提で同コーチは「やっぱり重要な先発であることは間違いないです」と初戦、ないし第2戦での先発に予定していることを示唆しているし、首脳陣から動きづらいのは確かだ。
そうなるとやはり本人である。
北京大会の時の川崎は、本人が強く参加を希望し、結果的には星野監督がそれを受け入れて帯同が決まっている。もちろん五輪の舞台は目標であり、名誉でもある。そこにムリを押してでも、参加したいという選手の気持ちは否定できない。ただ、万全ではないときに代表を辞退することも、またチームのための勇気ある決断でもあるということだ。
これまでも何度も厳しい決断の場面を見てきた
菅野ほどの投手である。
これからシーズン中断まで約2週間。自分の状態を客観的に見て、その上で万全なコンディションで五輪の舞台に登れるかどうかを判断できるのは菅野本人しかいないのかもしれない。最後の最後まで粘ってもいい。その結果、自信を持ってマウンドに立てると判断するなら、胸を張って日の丸を背負って欲しい。ただ、その判断ができないときには、自ら辞退の決断をする必要も出てくるのだろう。
苦しい決断になる。しかしそれもまたチームが万全の戦いをするためでもある。
これまでも何度も厳しい決断の場面を見てきたからこそ、菅野ならその判断ができるとも思っている。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。