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またもや登録抹消、巨人・菅野智之の状態が厳しすぎる…東京五輪代表は“本人の決断待ち”か?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySankei Shimbun
posted2021/07/02 17:05
7月1日の広島戦で3回途中4失点、わずか32球で降板した菅野(左)
代表選手に菅野を選んだことには様々な意見があった
今季の開幕前に話をしたときに、菅野自身もこう話していたように、選手生命を脅かした大きな故障も乗り越え、集大成をかけたシーズンに臨んでいたはずだった。
しかし開幕直後に足(ヒザ)を痛め、今度は古傷でもある肘の違和感にも襲われての抹消の連続。もちろん巨人のエースとしての責任もあるが、目の前のもう1つの現実問題として出てくるのが、代表に内定している東京五輪への出場問題なのである。
6月16日の代表選手の発表直後から、今季の状態が良くない菅野を選んだことには様々な意見があった。
ただ、投手としての力量はもちろんだが、国際試合での経験と実績を考えたら、侍ジャパンにとっては外せないメンバーであることは誰も異論がないはずだった。
もちろんそこには代表選考の時点で、開幕までの1カ月余りの時間で、状態が上がってくるという前提があっての選出でもあった。選ぶ側にとっては状態が悪いからと菅野を代表から外して、本番間近になって調子が上がったからと言って、誰かを外して入れる訳にはいかない。当事者ではない外野はなんとでも言えるが、あの時点で菅野を外すという選択はあり得ないし、選ぶのは当然の結論だったわけだが、問題はこれからである。
北京五輪では上原と新井、川崎で明暗が分かれた
以前にも書いたが2008年の北京五輪で、代表を率いた星野仙一監督は実績重視の選手選考を行い、様々な批判を浴びた。それでも選考時点で成績の上がっていなかった巨人・上原浩治投手や故障を抱えていた阪神・新井貴浩内野手らは本番に合わせて状態を上げて、五輪ではそれなりの結果を残すことになる。
その一方で大会直前に故障してコンディションの悪かったソフトバンク・川崎宗則内野手を外すことができなかったのが、選手選考の最大の失敗だった。最終的に川崎は大会途中で故障が悪化し、最後は実質的には23人で戦わなければならないこととなってしまっている。
北京大会でメダルを逃した原因がそこだったとは思わないが、それでも一度、選んだメンバーにこだわり、問題を抱えて本来の力を発揮できないことが分かっていてもチームに帯同することは、ただでさえベンチ入りメンバーが少ない五輪では戦術、戦力上にも見えない影響を及ぼすことは確実だということなのである。
そこで菅野だ。