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またもや登録抹消、巨人・菅野智之の状態が厳しすぎる…東京五輪代表は“本人の決断待ち”か?
posted2021/07/02 17:05
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Sankei Shimbun
かなり深刻であることは明らかだ。
7月1日。東京ドームで行われた広島戦。東京五輪の代表に内定している巨人・菅野智之投手の復活をかけたマウンドは、わずか32球、2回3分の1で終わってしまった。
右肘の違和感から6月6日に復帰し2試合に登板したものの、本来とは程遠い投球内容で13日のロッテ戦は3回途中でKO降板。自らの意思で今季3度目となる一軍登録の抹消をされて、再起への道を模索してきた。
当初は交流戦明けの復帰も予定されていたが、菅野本人の希望で慎重には慎重を期して決まった復帰へのステップ。それはあと1カ月を切った東京五輪に向けて描いた復活の青写真でもあったはずだが、突きつけられたのは厳しい現実だった。
現実を受け入れられないように首を捻るエース
初回にいきなり1番の菊池涼介内野手に甘く入ったスライダーを中前に弾き返されると、送りバントの1死二塁から3番・小園海斗内野手にカーブを中越二塁打されてあっさり先取点を献上。さらに3回には1死から西川龍馬外野手に初球の真っ直ぐを右中間スタンドに運ばれ、さらに小園に中前打を許したのちに、今度は4番の鈴木誠也外野手にまたも真っ直ぐをセンターバックスクリーンへと運ばれた。
マウンドでは現実を受け入れられないように首を捻るエースの姿があった。
西川に打たれた真っ直ぐの球速は141km。鈴木の一打は144km。好調時には155km前後出ていたストレートのスピードが明らかに減速し、しかも宝刀・スライダーをはじめとした変化球も指にしっかりかからずに抜けたように制球が甘くなってしまっている。
そこには本来の姿とは大きくかけ離れた菅野智之がいる──それが7月1日の東京ドームの現実だった。
「チームに迷惑をかけて申し訳ないです。1日も早く100%の状態に戻れるように頑張ります」
広報を通じてこうコメントを残した菅野だが、首脳陣のコメントは切羽詰まったものだった。