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コケたのに日本記録!? 順大駅伝監督が語る、男子3000m障害・三浦龍司の「“イレギュラー”への対応力」
posted2021/07/07 11:02
text by
加藤康博Yasuhiro Kato
photograph by
AFLO
ものすごいレースを見た。それが終わった直後の印象だ。6月26日に行われた陸上の第105回日本選手権男子3000mSC決勝、三浦龍司(順大2年)はすでに東京五輪参加標準記録を突破し、3位以内に入れば代表内定だった。しかしこの19歳は2400m過ぎての水濠を越えた着地で転倒したものの、何事もなかったかのように立ち上がり、そこから猛然とスパートをかける。転倒により前に出た2名の選手を一瞬で置き去りにし、自らの持つ日本記録(8分17秒46)を更新する8分15秒99で優勝、東京五輪代表の座を射止めた。
「もうスピードを上げて走っていますよ」
転倒しながら日本記録を樹立。昨年からこの種目では圧倒的な強さを誇っていただけにその力を疑うべくもなかったが、それにしても強すぎた。レースから数日後、順大、長門俊介駅伝監督に話を聞いた。
「転倒は着地のタイミングが合わなかったみたいです。その後、大事を取って予定していた練習を回避した日もありましたが問題ありません。もうスピードを上げて走っていますよ」
一番の心配は転倒の影響だったが、不安はないとのこと。長門監督は明るく、東京五輪に向けてはしっかり準備ができると断言してくれた。