自分が尋ねたのは、地元開催という五輪のピッチに立つことで、自分自身のどんな成長や変化を期待したいのかという問いだった。選出までの道のりに関する話題が多かったこともあり、大舞台でイメージする未来の姿を語ってもらおうと思った。

「自分自身が楽しんでいるときが一番良いプレー」

「こういう舞台で結果を出せるか出せないか。どういう選手なのかによって、今後のサッカー人生も決まってくるし、こういう舞台で結果を出せないと、それまでの選手なんだと思っています。そういう緊張感の中でも、いつも通りの自分のプレーができるかどうか、自分の特徴を出せるか。そして日本の勝利のためにハードワークができるか。そういうところが一番大切だと思っています」

　それが人生をかけた舞台であることを認識した上で、結果を出せなければ、自分がそのレベルの選手だと彼は言い切っている。そして緊張感の漂う特別な舞台に臨む心構えとして、彼は「頑張る」ではなく「自然体」と口にした。

「自分自身が楽しんでいる時、自然体でプレーしている時が一番良いプレーができていると思っています。もちろん、そこでミスをしてしまえば、軽い、責任がないと言われかねないです。でも、その塩梅というのを自分でもわかっているつもり。闘志は出しつつ、いつも通りのプレーができれば良いかなと思います」

フロンターレでも抜群の存在感を示している©Etsuo Hara/Getty Images

　チームスポーツの世界では、自分でコントロールできない領域が圧倒的に多い。ゆえに「持っている」という表現が用いられることもあるのだが、それらの要素もひっくるめて最良の結果を引き寄せる自信が、そこに垣間見えた。

旗手も「優勝を目指して頑張りたい」

　そしてもう1人。

　18人の席に滑り込んだ若者がリモート会見に現れた。

　旗手怜央だ。

　広報に促されると、少し照れながらも、やはり穏やかに感想と意気込みを話し出した。

「まずフロンターレで今までやって来たことが評価されたので、嬉しく思います。選ばれたからには日本を代表して戦うことになる。優勝を目指して頑張りたいと思います」

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