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ブンデスリーガ“激動の監督人事”…4人の「スライド移籍」&7人の“ラングニック派”で来季の勢力図はどう変わる?
posted2021/06/16 17:01
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph by
Getty Images
ドイツはすでに2020-21シーズンのブンデスリーガおよびUEFAチャンピオンズリーグ、UEFAヨーロッパリーグなどの各種大会が終了し、各種話題は一旦小休止しています。
それでも今シーズンはかつてない特徴的アクションが見られたため、ブンデスリーガに所属する各クラブはその対処と、来シーズンへの準備に追われています。
上位8チームのうち7クラブが監督交代することに
特徴的なことの最たるものは、指揮官の“スライド移籍”に他なりません。“スライド移籍”なる言葉は筆者の造語ですが、今季ブンデスリーガ1部に所属したクラブのうち、実に9クラブの指揮官交代がすでに発表されており、そのうちの4人が他クラブの指揮を執るというのですから尋常ではありません。
現在正式に次期監督を発表しているのは以下の9クラブです。(カッコ内は今季の順位/現監督→来季監督。※は今季まで別のブンデスリーガ1部チームを率いていた監督)。
・バイエルン(1位/ハンス・フリック→ユリアン・ナーゲルスマン※)
・RBライプツィヒ(2位/ユリアン・ナーゲルスマン→ジェシー・マーシュ)
・ドルトムント(3位/エディン・テルジッチ→マルコ・ローゼ※)
・ヴォルフスブルク(4位/オリバー・グラスナー→マルク・ファンボメル)
・フランクフルト(5位/アディ・ヒュッター→オリバー・グラスナー※)
・レバークーゼン(6位/ハネス・ボルフ→ジェラルド・セオアネ)
・ボルシアMG(8位/マルコ・ローゼ→アディ・ヒュッター※)
・ケルン(16位/フリートヘルム・フンケル→シュテッフェン・バウムガルト)
・ブレーメン(17位/トーマス・シャーフ→マルクス・アンファング)
興味深いのは2020-21シーズンの上位8チームのうち、7クラブが監督交代すること。指揮官が代わらないのはウニオン・ベルリン(7位)のウルス・フィッシャー監督のみ。注目すべきはその中の4クラブが昨季まで他のブンデスリーガチームを率いていた指揮官を招聘する点です。
フランクフルトではヒュッターに対する辛辣な評価が
“スライド移籍”の引き金を引いたのはドルトムントでした。2月15日に、ボルシアMGを率いていたローゼ監督の来季指揮官内定を発表しました。
続いてローゼ監督の離任が発表されたボルシアMGが動き、4月13日にフランクフルトのヒュッター監督を来季指揮官に指名しました。しかし、こちらはフランクフルトが来季のCL出場権獲得を目指す上位争いを繰り広げていた時期だったため、深刻なハレーションを引き起こしました。