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ブンデスリーガ“激動の監督人事”…4人の「スライド移籍」&7人の“ラングニック派”で来季の勢力図はどう変わる?
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2021/06/16 17:01
ブンデスリーガでは監督の“スライド移籍”が活発に。バイエルンなど4チームが他チームから監督を引き抜いている
その報が伝えられた直後の4月17日、第29節ボルシアMG対フランクフルトは0-4でフランクフルトが敗れました。当事者同士のマッチアップとあって様々な議論が起こり、その後も余波は続き、結局ヒュッター監督の離任が明らかになって以降フランクフルトは2勝1分3敗の成績で5位に転落。来季EL出場権を獲得するに留まりました。
筆者はフランクフルトに住んでいるため、ヒュッター監督に対する地元の辛辣な評価を目の当たりにしてきました。地元紙は軒並み終盤の低調を指揮官の振る舞いにあると断じ続けましたし、この街に住む地元サポーターで弁護士でもあるドイツ人の友だちは憤りを露わに、こんな愚痴を言っていました。
「シーズン中に、メンヘングラッドバッハやヒュッターが来季の去就を発表するなんてズルくない? これって、訴えることってできないのかなぁ? 教えてくれない?」
「訴訟関連はあなたの本業では?」と思いましたが、そこはビジネスと趣味をすみ分けて考える聡明な友だちなので、こちらも無感情の笑顔を返しておきました。それでもやはりサポーターは今回の指揮官の“勇み足”に納得がいかない様子です。
「コロナ禍が明けてスタジアムで観戦できるようになったら、メンヘングラッドバッハの監督として来たヒュッターに、ありったけの力でブーイン……」
友人がイリーガルなことを口にし始めたので、このあたりでヒュッター監督に関する話題は止めておこうと思います。
バイエルンは約33億円を投じてナーゲルスマンを引き抜く
4月27日には、バイエルンのフリック監督の契約解除が明らかになりました。フリック監督は4月13日のCL準々決勝パリ・サンジェルマン戦で敗退した直後にクラブを離れる意向を口にしており、クラブは指揮官の希望に沿う形で当初2023年6月30日までだった契約を2021年6月30日に解除することで合意しました。フリック監督はヨアヒム・レーブ監督の後を引き継いでドイツ代表を率いることが決定しています。
バイエルンはそれと同時にライプツィヒを率いていたナーゲルスマン監督の来季就任を発表しました。現地メディアによると、バイエルンは契約解除金として2500万ユーロ(約33億円)を投じてナーゲルスマン監督を引き抜き、2026年6月30日までの5年契約を締結したそうです。