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得点源ケインと新世代イングランドvs35歳モドリッチ健在のクロアチア EURO恒例“いきなり大一番”が見逃せないワケ 

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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photograph byTakuya Sugiyama/JMPA

posted2021/06/12 17:03

得点源ケインと新世代イングランドvs35歳モドリッチ健在のクロアチア EURO恒例“いきなり大一番”が見逃せないワケ<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama/JMPA

ロシアW杯準決勝でのケインとモドリッチ。EUROで実現するいきなりの再戦はどのような結果となるか

 準優勝したロシアW杯でも、開幕前のFIFAランキングは20位だった。世代交代はスムーズに進んでいるとは言えないが、攻撃的MFニコラ・ブラシッチやウイングのヨシップ・ブレカロといった若者は面白い。現地紙によると、ベテランが「最近の代表の若手は礼儀が足りない」と不満を漏らしているそうだが、生意気と勢いは表裏一体でもある。

35歳モドリッチはいまだに健在なのだ

 そしてなんと言っても、35歳のスーパースター、ルカ・モドリッチが健在なのだ。ピッチ上の姿から衰えを感じることはないが、年齢を考慮すると、これが彼にとって最後の欧州選手権になりそうだ。ファンとしては、名匠のゲームメイクを堪能できる残り少ない機会を大切にしたいし、本人も極めて高い集中力で今大会に臨むのではないか。

 彼が後継者と認めながら、今ひとつ主役になりきれないマテオ・コバチッチ(今季、チェルシーで自身4度目の欧州制覇を達成したが、決勝に出場したのは初めてで、今回も終盤の10分間のみ。代表でも完全なレギュラーとは言えない)の奮起にも期待したい。

勝負の分かれ目はやはり、中盤の勝負

 既述の通り、W杯とNLで顔を合わせた過去3試合の成績は、両者1勝1分1敗の五分。日本時間6月13日(日)22時にロンドンの聖地ウェンブリー・スタジアムでキックオフを迎える一戦では、やはり中盤が勝負の別れ目となるか。

 3年前のロシアW杯準決勝を、休暇先のドバイでテレビ観戦していたという現在22歳のイングランド代表デクラン・ライスは、当時の自身は「モドリッチの足下にも及ばなかった」と『ガーディアン』紙に語っている。

「でもそれから僕は強く、大きくなり、自信もつけた」と2019年3月に代表デビューした大柄な守備的MFは話す。「彼(モドリッチ)は真のワールドクラスだけど、対戦してみたい。怖気付いたりしないよ」

 EURO恒例、いきなりの大一番。イングランドもクロアチアも楽しみだ。

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