その4人とは、7戦を終えて総合首位のレミー・ガードナー、以下、2位のラウル・フェルナンデス、3位のマルコ・ベゼッキ、4位のサム・ローズ。ベゼッキは今季未勝利だが、残りの3人で7戦中6勝を挙げている。小椋は今大会でも彼らによる優勝争いを間近に見ることになった。すぐれたライダーの共通点は、周りの状況が良く見えていること。そのためライバルの分析もするどい。だから彼は成長していけるのだろうと思った。

小椋が所属するのは日本色の強いイデミツ・ホンダ・チーム・アジア。監督を務めるのは09年WGP250ccクラス王者の青山博一だ

優勝したら喜びますから

　小椋藍のヘルメットは、ジャパンブルーと呼ばれる藍色がベースとなっている。デザインしたのは契約するアライヘルメットのスタッフたちで、日本を代表する選手になってほしいという願いが込められている。

　2009年に250ccクラスチャンピオンになった青山博一も小椋には大きな期待を寄せる。「グランプリに出場するライダーはみんな才能ある選手たち。その才能を活かす努力ができるかどうかにかかっている」と語る。

　だれが見ても、彼の努力に魅了される。だから応援するのだろう。これはMoto3時代のことだが、「表彰台に立ったら、もっとうれしそうに……」という僕の言葉に彼はいつもこう答えてくれた。「優勝したら喜びますから」。彼にとってカタルーニャGPは、今年イチバンいいレースでイチバン悔しいレースだった。それだけに、その日が来ることを予感させてくれるレースだった。