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なぜネイマールは「メッシとロナウド級になれなかった」のか 本人取材を経験した記者が嘆く“2つの理由と周囲の環境” 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2021/06/09 12:32

なぜネイマールは「メッシとロナウド級になれなかった」のか 本人取材を経験した記者が嘆く“2つの理由と周囲の環境”<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

2011年クラブW杯の表彰式のひとコマ。それから10年、ネイマールはメッシを超えたとは言い難い

 彼は2016年末、若い愛人の存在を妻に悟られ、隠し子がいるとも報じられて、25年間連れ添った妻と離婚した。

ネイマール親子に思い出すロナウジーニョ兄弟

 ネイマールと父親の関係を見て思い浮かぶのが、ロナウジーニョと兄アシスだ。

 幼い頃に父親を亡くしたロナウジーニョは、9歳年上で、名門グレミオでプレーした兄が父親代わりだった。ロナウジーニョのキャリアはすべて兄が設計し、弟は兄の考えに盲目的に従った。これで兄が的確な判断力の持ち主であれば問題はないのだが、現実には兄の間違った指示のせいで多くの訴訟やトラブルに巻き込まれている。

 昨年3月、2人はパラグアイに入国した際、偽造パスポートを提示して逮捕された。怪しげな地元の実業家の口車に乗せられて違法行為を犯し、約半年間、留置された。兄が儲け話に目が眩み、まともな思考力の持ち主であれば絶対にやらないであろうミスをしたからだ。それと同じようなことが、ネイマールと彼の父親の間で起きている。

 サントスからバルセロナへ移籍する前のネイマールにも、インタビューしたことがある。明朗快活。フットボールが大好きで、世界の舞台で活躍することを夢見る溌溂とした若者だった。ただし、どの質問に対しても、父親ら周囲の人間が用意した模範解答を口にしているようだった。ピッチの中ではともかく、ピッチ外では取り巻き連中に操られているという印象を受けた。

父親以外も、クセの強い人物だらけな一家

 父親のみならず、ネイマール一家の他のメンバーも一癖も二癖もある人物が揃っている。

 4歳年下の妹ラファエラは、派手ないでたちと言動で知られるインフルエンサーだ。インスタグラムには、整形手術を繰り返したと噂される顔に個性的な化粧を施し、高価な服やアクセサリーで着飾った写真を投稿する。約3万人のフォロワーがいるが、「兄の名声と金を利用し、自分では何もしないで人生を渡っている」という声が少なくない。

 ブラジル代表FWガビゴール(フラメンゴ)と交際して一時は明らかに妊娠したと思われる体型だったが、父親に交際を反対されて別れ、密かに子供をおろしたと報じられた。カトリック国ブラジルでは堕胎は違法だが、闇でこっそりと行なわれている。

 母ナジーネは、ほとんどメディアの前に姿を現わさず、一家で最も地味な存在と思われていた。

【次ページ】 “甘やかし放題”な幼友達の存在も

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