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レバンドフスキに得点記録を抜かれたゲルト・ミュラーは何を思う? その偉大さとまだ破られていない“ありえない記録”とは

posted2021/06/03 11:01

 
レバンドフスキに得点記録を抜かれたゲルト・ミュラーは何を思う? その偉大さとまだ破られていない“ありえない記録”とは<Number Web> photograph by Getty Images

シーズン最多得点記録を更新したレバンドフスキ。最終戦で見せた執念のゴールだった

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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 40得点。これは、1971-72シーズンにゲルト・ミュラーが打ち立てたブンデスリーガのシーズン最多得点記録だ。

「記録が破られる瞬間は、永遠に訪れないだろう」

 そう語っていたのは、バイエルンのカール・ハインツ・ルンメニゲ代表取締役だ。確かに、誰にとっても想像を絶する数字で、別次元のスコアだった。

 しかし、永遠に続く記録などないのかもしれない。2021年5月22日、世界に新たな記録が生まれた。バイエルンのポーランド代表FWロベルト・レバンドフスキが、リーグ最終節のアウクスブルク戦でリーグ41得点目をマークしたのだ。

最後の最後で狡猾に得点を奪い取り、記録を更新

 シーズン序盤から順調に得点してきたレバンドフスキは、第26節シュツットガルト戦でハットトリックを決めた時点でゴール数を35まで伸ばしていた。残り8試合で6ゴールを決めれば新記録達成。彼にしてみれば、視界は相当に開けていたはずだ。

 だが、思わぬ苦難が襲い掛かる。3月28日にポーランド代表として出場したカタール・ワールドカップ欧州予選のアンドラ戦でひざを負傷。当初は軽症と報じられたが、改めて検査を受けた結果、側副靭帯損傷で4週間の離脱と診断された。

 ケガの状態が悪ければ、それこそシーズン中の復帰さえ難しくなってしまう。

 それでもレバンドフスキは懸命にリハビリに取り組み、2週間後にはランニング練習を行なうなど、順調に復帰プログラムを消化していった。

 そして、4月24日の第31節マインツ戦でスタメンに復帰。早速1ゴールを挙げ、希望をつないだ。とはいえ、さすがに難しいか? いや、今季のレバンドフスキだったら……。ドイツ中のサッカーファンが、比類なきチャレンジの行方を見守っていた。

 第33節フライブルク戦でゲルト・ミュラーと並ぶ40得点目を決めたことで、最終節で1ゴールでも決めたら新記録となる。バイエルンはすでに優勝を決め、アウクスブルクは残留を達成している。

 ある意味消化試合とも言えるだけに、得点の可能性は高いと思われた。実際、前半から何度も決定機に絡んだ。しかし、同じポーランド人のGKラファウ・ギキエビツのファインセーブに阻まれ、どうにもゴールネットを揺さぶることができない。

 バイエルンのハンシィ・フリック監督は「タパ(GKコーチのト二・タパロビッチ)に『これは無理かもしれないな』と口にしていた」と正直な心境を後で明かしている。

 それでも、レバンドフスキはレバンドフスキだった。バイエルンのリードで迎えた試合終了間際、最後の最後で狡猾に得点を奪い取ったのだ。

【次ページ】 バイエルンに携わるすべての人に永遠に感謝される存在

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