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シャフリヤール・藤原英昭師がダービーで直線の“想定外”に顔をしかめたワケ「『あちゃ~』って思いました」
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2021/06/02 11:01
日本ダービーで4番人気ながら鼻差で優勝したシャフリヤール。藤原英昭師と福永祐一は長く共に戦っている
4番人気シャフリヤールは毎日杯で1着
少し差のある単勝5.1倍の2番人気に評価されたのはサトノレイナス。美浦・国枝栄厩舎の牝馬だ。デビューからここまで1600メートルばかりを使い4戦2勝。近2走は阪神ジュベナイルF(GI)と桜花賞(GI)でいずれもソダシの2着。国枝調教師は言う。
「一連の競馬ぶりをみると距離が延びるのは良さそうで、それは手綱を取るルメさん(C・ルメール騎手)も同じ見解。牡馬相手でも好勝負が出来ると信じています」
3、4番人気はグレートマジシャンとシャフリヤール。いずれも前走は毎日杯(GIII)で前者が2着、後者が1着。前者は美浦・宮田敬介厩舎で後者は藤原英厩舎の管理馬だ。
藤原師はエフフォーリアを見ていた
レースは予想通りバスラットレオンの逃げで始まった。最内1番枠だったエフフォーリアはスタートから横山武史騎手が出していく構えを見せた後、控え、3~4番手のインを追走する形。その後ろにインからバジオウ、シャフリヤール、サトノレイナスが続く形で向こう正面へ。
前半の1000メートル通過ラップは60秒3。GIとしては遅い流れ。ましてこの週末の東京競馬場の芝コースは異常に速い時計で決着する馬場状態だったので、各ジョッキーもこの時計以上に遅く感じたのではないだろうか。離れた最後方に控えたレッドジェネシスを除くと馬群は一団となって3コーナーへさしかかった。
ここで真っ先に動いたのがサトノレイナス。ルメール騎手が2017年にレイデオロで制した時のように他馬に先んじて番手を上げて行った。
これにつれて何頭かが動いたため、インにいたエフフォーリアは自然と番手を下げる形。しかし、これを見ていた鹿戸調教師は「大丈夫」と信じていた。
「脚はあるし、広い東京コースなら必ず捌ける時が来る。だから大丈夫だと思って見ていました」
その様子を見ている男がもう1人いた。藤原英調教師だ。自らの管理馬であるシャフリヤールではなく、道中はエフフォーリアの動向に注目していたと語る。
「最初のコーナーでシャフリヤールがエフフォーリアの後ろにつける事が出来た段階で、後はエフフォーリアの動きばかりを見ていました。この馬が強いのは間違いないので、追走出来ていれば……という思いでした」