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戦力外寸前ヘンダーソンを救い「新たなジェラード」に… ジェラードの“偉大なリバプール主将”継承ストーリー【41歳に】
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byGetty Images
posted2021/05/30 17:03
ヘンダーソンにキャプテンマークを預けるリバプール時代のジェラード。両者ともに偉大なるスキッパーだ
ランパードとともにプレミア殿堂入り、偉大な主将像
5月20日、プレミアリーグはジェラードが殿堂入りしたことを発表した。リーグ戦504試合で120ゴールという数字だけでなく、彼のチームを導く姿を見れば、この称号を得ることも時間の問題だった。
同じ時代を走り抜けたフランク・ランパードも殿堂入りを果たしている。彼もまた、チェルシーという大きなクラブの看板を長年にわたり背負い続けてきた男だが、そんなレジェンドでさえ古巣の監督を1年あまりしか務められなかったことを考えると、ビッグクラブの指揮官という重責は簡単なものではないと感じさせられる。
規模は違えど、レンジャーズという一国を代表するビッグクラブで偉大な功績を残すことができるのは、練りこまれた戦術以上に、選手を導く“キャプテンシー"があるからだ。
彼が初めてリバプールのキャプテンを務めたのは2003年のこと。当時監督のジェラール・ウリエによって、サミ・ヒーピアからアームバンドを引き継ぐことになった。
当時23歳。トップチームデビューを果たしてからわずか5年後のことだ。本人ですら2017年のインタビューで「23歳でリバプールのキャプテンになるのは少し若い」と振り返っている。
しかしアカデミー時代から過ごしたリバプールへの愛を示し、類稀なるキャプテンとしての資質で、若さなど関係ないと言わんばかりにファンの心を鷲掴みにした。
2004年にチェルシーを率いていたジョゼ・モウリーニョからの誘いを断ると、翌年にはイスタンブールでビッグイヤーを掲げる。その後2015年まで世界有数のビッグクラブのキャプテンを務めあげた。
ついにプレミアリーグのカップを掲げることは叶わなかったが、自身の夢をひとりの男に託す。偉大なキャプテンとして知られるジェラードだが、同時に「キャプテンを育てるキャプテン」という側面も持っていた。
欧州SL構想時に緊急ミーティングをしたヘンダーソン
今年4月に世間を騒がせたスーパーリーグ構想に関して、ジョーダン・ヘンダーソンが緊急ミーティングを開催し、プレミアリーグのキャプテンたちを招集すると報じられたとき、まるでスティーヴィーの面影を見ているようだった。
おそらく彼が前年のプレミア王者のキャプテンという立場でなかったとしても、全く同じことをしただろう。