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戦力外寸前ヘンダーソンを救い「新たなジェラード」に… ジェラードの“偉大なリバプール主将”継承ストーリー【41歳に】
posted2021/05/30 17:03
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph by
Getty Images
レンジャーズのスコティッシュ・プレミアシップ優勝は、単なる優勝ではない。
10年ぶり55回目のリーグタイトルは、2012年に破産手続きによって4部降格を強いられたクラブの復活の象徴となる。レンジャーズ史の中でも、大きなモーメントのひとつとなるに違いない。そんな20-21シーズンで、彼らはやってのけた。
無敗優勝だ。
スコットランドでは16-17シーズンのセルティック以来となるが、このときはレンジャーズがようやく4部からトップディビジョンに帰ってきたばかり。長年覇権を争ってきたライバルとはいえ、対抗馬には程遠い力関係だった。
4年前の借りを返すかのように今季は4度のオールドファームで3勝1分、最終的には25ポイントもの差をつけて、9連覇中のライバルを完全にねじ伏せた。
38試合13失点の無敗優勝を成し遂げたジェラード監督
記録は「無敗」というだけではない。米『AP通信』によると今季の勝ち点102で、クラブ史上初めて100ポイントを超えることとなった。
また全38試合で13ゴールしか許しておらず、21世紀だと04-05シーズンのチェルシー(15失点)、長い歴史を紐解いても1913-14シーズンのセルティック(14失点)を抜いてイギリス全体の新記録となる。今季記録した26回のクリーンシートもスコットランドの歴代最多記録を更新したそうだ。
「今季選手たちが残した数字は、本当に素晴らしいものだ」
素直に喜びと称賛の意を示した監督こそ、本日、5月30日に41歳を迎えるイングランドフットボール界のレジェンド。あのスティーブン・ジェラードである。
現地では2024年で契約が切れるリバプールのユルゲン・クロップの後釜候補として、たびたび話題になっているほど。もちろんメディアの早とちりなのではあるが……。
それでも、かつてリバプールの伝説となった男が、キャプテンマークの代わりにネクタイを巻いて戻ってくる可能性に期待せずにはいられないのだ。