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那須川世代は“育ちからして違う”? 「天心君を超えたい」令和のキックをひっぱる志朗の変貌と石井一成の初体験
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph bySusumu Nagao
posted2021/05/25 17:02
21年2月、天心戦に挑んだ志朗。トーナメントにかける思いは強い
「優勝したら、RISEのファンをムエタイの大会に」
しかし、日本で揉まれる環境が整備されると状況は一変。キッズ世代でもタイで通用する選手がどんどん出てきた。石井も、そのうちのひとり。彼は「現在も僕の肩書はムエタイファイター」と断言するほど、700年の歴史を持つタイの国技に誇りを持つ。
「ずっとやってきたことはムエタイだし、(福岡にある所属の)ジムもタイ式。だからこそRISEではムエタイを背負って闘う。なので、いまの立ち位置としては、昔K-1で闘っていたブアカーオに近いかもしれない。それに、いまはコロナのせいもあり、ムエタイで一番を決める大会もない。だったらRISEの53kg級で一番をとりたい。優勝したら、RISEのファンをムエタイの大会に呼びますよ」
「内容は完全にガチでしたね」
果たして志朗とのエキシビションは令和のキックボクシングを試す絶好の機会となった。ある程度このルールに慣れた志朗とは違い、石井はずっとヒジ打ちありの昭和のキックボクシングやムエタイで闘ってきている。全ては初体験だった。
「内容は完全にガチでしたね(苦笑)。そうした中、ちょっと(間合いを)外してみたり、力を抜いてアッパーを合わせてみたり。ちょっとずつルールに対応できるように闘えるように心がけていました。大崎選手はRISEに対応して、スタイルが変わってきている。足を止めて打ち合うようなこともない」
振り返ってみれば、志朗はかつてはタイでテレビマッチの常連になるほどムエタイを肌で身につけている選手だった。しかし現在はボクシングテクニックに長けた令和のキックボクサーへと変貌を遂げている。
-53kg日本一決定トーナメントで、臨機応変に新たなパーツを加え続ける神童世代はどんな進化した闘いを魅せてくれるのだろうか。