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【本塁打ランク単独トップ】大谷翔平「最初は何だかよく分からなくて…」 メジャー初ホームランの“興奮と戸惑い”を振り返る
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byAP/AFLO
posted2021/05/19 11:25
仲間の笑顔も溢れ、すっかりチームの一員となった
「いいスイングができました」
本拠地での最初の打席でメモリアル弾は飛び出した。
2-2の同点に追いついてなお2死満塁の場面。
インディアンスの先発右腕、ジョシュ・トムリンに対してカウント1-1から、ワンバウンドになる落差のあるカーブにタイミングが合わずに空振りした。これを見てインディアンスバッテリーは4球目も同じカーブを選択したが、これがワンバウンドの暴投となってエンゼルスに勝ち越し点が入った。
「ボール球を空振って、いいカーブだなと思いました。その後にワンバウンドでワイルドピッチがあって、点も入ってくれて楽になったし、そのおかげで次のカーブが少し浮いてくれたというのもあったと思う。いいスイングができました」
ファウルをはさんだ6球目。
インサイドに入ってくるカーブをいつも通りに思い切って振り抜いた。
高く上がった打球。やや角度がつきすぎたが、それで逆に風にも乗った。
「(打った瞬間は)入らないかなと思ったけど、風に押されて入ってくれた。すごく気持ち良かったです」
打者のデビュー戦ではゴロしか打てなかった。
記念すべきメジャー初本塁打は、右中間のスタンドへと飛び込む3ラン。それは打者・大谷にとって公式戦で初めて打ち上げたフライボールでもあった。
3月30日(対アスレチックス戦)の打者としてのデビュー戦では、第1打席のメジャー初安打を含めて、5打席のうち、4打席は右方向へのゴロだった。大谷の打者としての最初の壁は、打球が上がらないということだったのだ。
メジャーの投手独特のタイミングや動くボールにどう対処していくか。そのためにはとにかく数多くの投手と対戦して、数多くの打席をこなしていくしか方法はないと言われている。
だが、打者でデビューした3日後には、今度は投手でマウンドに立つことになっていた。
投手と打者の両方をこなす二刀流故に、必然的に打席数は増えていかないというのが現実だ。