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石川祐希はどんなキャプテンに? 監督や仲間が「頼もしい」と感じた合宿初日の言葉…理想のリーダー像は尊敬する金メダリスト 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byPowervolley Milano

posted2021/05/19 17:00

石川祐希はどんなキャプテンに? 監督や仲間が「頼もしい」と感じた合宿初日の言葉…理想のリーダー像は尊敬する金メダリスト<Number Web> photograph by Powervolley Milano

イタリアでの厳しい争いの中で成長してきた石川。その経験を日本代表へ還元していく

 代表の主将を務めることは、自身の目標に近づくためにも必要なステップだと石川は考えている。目標とは、「世界一のプレーヤー」である。

 イタリア・セリエAで6シーズン、着実にその目標に向けて進んできた。

 2020-21シーズンは、目標への大きな手応えを得たシーズンだった。ミラノでチームトップの470得点を挙げ、念願のプレーオフに初めて進出し、CEVチャレンジカップという欧州のカップ戦で優勝を果たした。カップ戦優勝を争う試合や、セリエAのプレーオフは、レギュラーシーズンとは選手たちの表情からしてまったく違う。

 それこそ、石川が切望していた舞台。石川自身も必死の形相で、1点取るごとに自然とガッツポーズが出たり、チームメイトと体をぶつけ合って喜びを表現した。

 プレーオフ準々決勝では、レギュラーシーズン1位の強豪ペルージャと対戦し、初戦は0-2と追い込まれてから3セットを連取し劇的な逆転勝利を飾った。しかし第2戦に逆転で敗れると、第3戦も落として敗退。勝機があっただけに、石川の言葉からは今でも悔しさがありありと伝わってくる。

「1戦目を取って、流れはこちら側に来ていた。2戦目も第1セットを取って、第2セットも途中までリードしていたんですけど、隙を見せてしまった。1点くらい、ミスしても次取ればいいや、という甘い考えになってしまっていたところがあった。プレーオフを勝ち抜くのは簡単なことじゃない、そういう時こそ隙を見せてはいけない、常に集中していなきゃいけないと学びました。

 チャンスがあったのに、自ら逃してしまったことが非常に悔しい。でも今季、そこで負けたことが収穫だと思っています」

 最高峰のリーグのプレーオフを経験して、「先が見えたというか、自分自身の可能性がまだあるなと感じられたシーズンだった」と語る。世界トップを目指す上で、通用する部分と足りないものがハッキリ見えたからだ。

「プレーだったりスキルに関しては全然、通用しているという自信がついた。課題は経験値。ペルージャやチビタノーバ、トレントといったチームの選手たちは、プレーオフのあの緊張感の中で毎シーズン戦っている。そのレベルの高い、緊張感のある試合で戦い続けることが必要だと感じました」

 一段上の、緊迫感あふれるステージに立った経験は、東京五輪につながる。

【次ページ】 一度、日本に戻ってきた理由

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