酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
佐々木朗希は5回4失点だけど… 大谷、松坂、ダル、田中、カネやんら大エースのプロ初登板とその後の成績はどうだった?
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2021/05/17 17:03
5回4失点ながらまとまった投球を見せた佐々木朗希。彼の潜在能力がどこまで発揮されるか、野球ファンなら注目したい
試合前に帽子を取って観客に頭を下げた江川に拍手と罵声が入り混じった大音響が降り注いだ。江川は4回に1失点したものの6回までは3-1と巨人がリード。しかし7回、若菜嘉晴、マイク・ラインバックに本塁打を打たれる。8回まで投げたものの自責点5で敗戦投手となった。江川はこの年9勝、翌1980年、81年と最多勝を獲得している。
阪神ファンはラインバックの話をするときにはいまだに「江川に初黒星を付けた外国人や」と言う。
松坂の“いきなりノーノー”を阻んだ打者は……
横浜高の松坂大輔は、1998年夏の甲子園で史上2人目の決勝戦ノーヒットノーランで優勝投手となる。同年のドラフトでは日本ハム、横浜との競合で西武に入団した。
翌1999年春の高知県の春季キャンプには多くのファンが押し寄せ、球団が松坂の背番号「18」のウィンドブレーカーを着せた「影武者」まで仕立てる騒ぎとなった。
松坂は4月7日開幕4戦目の東京ドーム、日本ハム戦に初登板。四球こそ与えたものの6回1死までノーヒット。1987年の中日、近藤真一以来の「高卒新人デビューノーヒットノーランか?」とネット裏は色めきたったが、小笠原道大に詰まった当たりの中前打を打たれ、さらに8回には再び打順が回った小笠原に2ラン本塁打を打たれて降板。しかし後続投手が日本ハムの追撃を抑えて高卒投手としてはドラフト以降で9人目となるプロ入り初登板初先発勝利を飾った。
球速は最速155km/hを記録。この日の勝利は東尾修監督の通算200勝だったが、インタビューで松坂は「ウィニングボールは(東尾監督ではなく)親に渡します」と語った。この年16勝で最多勝、新人王。デビューから3年連続で最多勝を記録した。
ダルビッシュはいろいろあったけど8回まで無失点
東北高のダルビッシュ有は、高校屈指の好投手として2004年のドラフト1位で日本ハムに入団する。
「松坂大輔以来の大物」と注目されたが、1年目の春季キャンプ中に写真週刊誌にパチンコ、喫煙がスクープされ謹慎処分に。開幕は二軍で迎え、2005年6月15日、この年から始まった交流戦、札幌ドームでの広島戦に先発する。
日本ハムは5回までに7-0と大きくリード。ダルビッシュは8回まで被安打3で無失点の好投を見せる。高卒新人4人目の初完封初勝利かと思われたが、9回新井貴浩、野村謙二郎に連続本塁打を打たれて116球で降板。しかし松坂大輔以来の高卒初登板初先発勝利を飾った。