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佐々木朗希は5回4失点だけど… 大谷、松坂、ダル、田中、カネやんら大エースのプロ初登板とその後の成績はどうだった?

posted2021/05/17 17:03

 
佐々木朗希は5回4失点だけど… 大谷、松坂、ダル、田中、カネやんら大エースのプロ初登板とその後の成績はどうだった?<Number Web> photograph by JIJI PRESS

5回4失点ながらまとまった投球を見せた佐々木朗希。彼の潜在能力がどこまで発揮されるか、野球ファンなら注目したい

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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 佐々木朗希は不思議な“ニュースター”だ。

 彼は、プロ野球本拠地の大きなスタジアムではほとんど投げていない。甲子園に出場していないからだ。高校3年の2019年夏の地方大会は岩手県営野球場だった。この秋のU18ワールドカップの代表選手に選ばれ8月26日、大学代表との壮行試合で神宮球場のマウンドに上がったのがほとんど唯一の経験だ。

 そして1年目は二軍戦にさえ出場せず、今年になって二軍戦に出るようになった。

 筆者はU-18の韓国での大会や、過去2年の春季キャンプで佐々木朗希を見ている。今年の石垣島のキャンプではストレッチのために寝そべってトレーナーに冗談を言う姿が見られた。普通の青年だなと思ったが、露出が少なかった分「秘密のベールを脱ぐ」という印象が強かったのだろう。

最速154km、フォークも一級品だった

 惜しくも勝ち星はつかなかったが、佐々木のデビュー戦は5回6被安打2与四球5奪三振1暴投、失点4自責点2、最速154km/h、ゆったりしたフォームから糸を引くような速球を投げ、落差のあるフォークも一級品だった。

 佐々木のデビュー戦を見守ったファンは、彼の雄姿をずっと語り継ぐことだろう。

 では――球史に残る名投手たちは、どんなデビューを飾ったのだろうか? 彼らの経歴とともに振り返ってみよう。

カネやんは甲子園決勝の2日後に……

 NPB史上最多の400勝を記録した金田正一は、1950年享栄商3年生の夏、エースとして地方大会で新城高、東邦高、小牧高、岡崎高を撃破して準決勝に進んだ。しかしこの試合で一宮高に1-2で惜敗、甲子園への道を絶たれた。

 金田はすぐに学校に退学届けを出し8月には国鉄スワローズに入団した。すでに屈指の投手として知られていた金田は、この年誕生したばかりの国鉄、西垣徳雄監督に「甲子園に出られなかったら、国鉄に入る」と約束していたのだ。

 この年の夏の甲子園は、松山東高の優勝で幕を閉じたが、これが8月21日、その2日後の8月23日に、金田はプロ一軍のデビュー戦を飾っているのだ。

 それも松山東高の凱旋で湧く松山の市営球場で行われた広島戦。4-5とリードされた6回に3番手としてマウンドに上がった金田は、球は速かったものの制球が定まらず、9回に押し出しでサヨナラ負けを喫している。

 金田はここから4連敗、1カ月以上勝ち星がなかったが、10月1日の大洋戦に完投勝利してから閉幕までに8勝を挙げている。金田のデビュー戦を見守った松山市営球場の観客はわずか3000人、このうち何人が「自分はNPB史上最高の投手のデビュー戦を見た」と思っただろうか?

【次ページ】 「おふくろに電話しなきゃ」と語った名選手は?

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