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移籍なら“55億円支給”の噂も…欧米ゴルフ界が揺れる新ツアー騒動「PGAツアーの弱点を見事についた構想」とは?
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byGetty Images
posted2021/05/12 06:00
PGL構想へのPGL構想へのポジティブな発言が取り沙汰されるフィル・ミケルソン
その1人、ローリー・マキロイは「実は2014年ごろからアプローチをかけられていた」と明かした上で、「僕は絶対にPGAツアーから離れない」と断言し、新ツアー構想をきっぱり拒否した。
だが、フィル・ミケルソンは昨年の春ごろからPGLに興味を示し、欧州ツアーのサウジ・インターナショナルのプロアマ戦でPGL関係者3名と同組で回り、「いろんな話ができて、とても興味深かった」と語った。ミケルソンがPGLへ“移籍”したら、ミケルソンと親交があるリッキー・ファウラーらも次々に移行するのではないか。欧米ゴルフ界には、そんな不安も広がった。
新ツアー構想はこれで3度目
米ゴルフ界の歴史を遡れば、PGAツアーに取って代わる新ツアー構想が浮上したのは、今回が3度目になる。
1度目はグレッグ・ノーマンが1994年に掲げた「ワールド・ゴルフ・ツアー」構想だった。一説によれば、その構想の一部が、現在のWGC(世界選手権シリーズ)創設につながったとも言われている。
2度目はノーマンの構想に改良を加えた形で2002年ごろからフレッド・カプルスらが提唱し始めた「メジャー・チャンピオンズ・ツアー」なる構想だった。37歳~55歳のメジャー・チャンピオンだけで競い合うというもので、FOXスポーツとTV中継の契約を結ぶ寸前まで辿り着いていたが、結局、契約は結ばれず、新ツアー構想は夢と化した。なぜ、成立しなかったのかは、当時も今も公にされていない。
そして3度目となった今回のPGL構想は、一時は欧米ゴルフ界を騒がせたものの、その後はコロナ禍の中で影を潜め、そのまま立ち消えになったと思われていた。
それでもPGAツアーは念には念を入れる形で、選手たちを流出させないための対策を講じ、昨年11月には欧州ツアーと戦略的提携を結んだ。今年4月には選手たちの人気度に応じてボーナスを支給する制度を新設した(PGAツアーが新設した制度に関する記事はこちら)。
しかし、その矢先、以前より拡充されたPGLが人気選手たちの獲得に具体的に動いていることが英国紙「ザ・テレグラフ」によって報じられ、今、欧米ゴルフ界を大いに震撼させている。