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移籍なら“55億円支給”の噂も…欧米ゴルフ界が揺れる新ツアー騒動「PGAツアーの弱点を見事についた構想」とは?
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byGetty Images
posted2021/05/12 06:00
PGL構想へのPGL構想へのポジティブな発言が取り沙汰されるフィル・ミケルソン
PGLは、すでに名称が「SLG(スーパーリーグ・ゴルフ)に変更された」という報道もあるが、「いやいや、新名称はSGL(スーパー・ゴルフ・リーグ)だ」とも言われ、さらには「SLGとSGLの両方がある」という情報も見受けられる。
新ツアー構想を立ち上げたWGGは、すでに手を引いたという話もあり、運営母体にはNYベースのマネジメント会社やロンドンの投資家が存在している等々、さまざまな情報が交錯している。だが、新ツアー側の正体はいまなお明かされていないため、情報の裏取りも叶わない状態だ。
構想の内容も、当初、報じられたものとは異なる内容が浮上しており、「新ツアーは4人1組で4チーム、合計16人で競い合う方式にあらためられた」とも言われているが、真偽のほどは、どれも不明だ。
錚々たる顔ぶれ、松山英樹にもオファー?
ただ、PGAツアーの人気選手たちが多数住むフロリダ州内に新ツアー側のリクルーターたちが長期滞在し、日々、アプローチをかけていることは紛れもない事実のようで、声を掛けられている選手たちのリストが明かされた。
そこには、ミケルソンを筆頭に、世界ランキング1位のダスティン・ジョンソン、ブルックス・ケプカ、アダム・スコット、ジャスティン・ローズ、リッキー・ファウラーやブライソン・デシャンボーらの名前があり、「新ツアーに移籍してくれたら30~50ミリオンドル(約33~55億円)を支給する」と言っているとか、いないとか。
さらに別の情報によれば、4人1組の4チーム体制を作るために、ジョンソン、ケプカ、さらにはジョーダン・スピース、ジャスティン・トーマス、松山英樹にも「20ミリオン(約22億円)払うからチームリーダーになってくれないか」などと持ち掛けているとか、いないとか。「ジョンソンはすでに承諾した」という報道も、すでにあった。
さっそく米メディアがこれらの選手のエージェントに真偽のほどを尋ねたところ、ジョンソンのエージェントは「事実無根」と否定。スピースとトーマスのエージェントは無反応、ケプカのエージェントは「今、報告することは何もない」とコメント。そして、松山の通訳兼マネージャーのボブ・ターナー氏は「ヒデキはPGAツアーのメンバーです」とメールで返信したそうである。
言うまでもなくPGAツアーのモナハン会長は焦燥感と不快感と怒りを露わにして、「新ツアーに参加した選手は、即刻、出場停止処分。永久追放もありえる」と声を荒げた。
しかし、驚いたことに新ツアー側はそのモナハン会長にもレターを送り、「アナタは考えを改めるべし」と告げたというから、もはやこれは、正体不明の謎の団体から挑戦状を叩きつけられる映画の中のストーリーのように感じられる。