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移籍なら“55億円支給”の噂も…欧米ゴルフ界が揺れる新ツアー騒動「PGAツアーの弱点を見事についた構想」とは?
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byGetty Images
posted2021/05/12 06:00
PGL構想へのPGL構想へのポジティブな発言が取り沙汰されるフィル・ミケルソン
マスターズを主催するオーガスタ・ナショナルGC、全米プロ主催者のPGAオブ・アメリカ、全米オープン主催者で米国ゴルフの総本山のUSGA、全英オープン主催者で欧州ゴルフ総本山のR&Aは、いずれも「私たちはPGAツアーと欧州ツアーをサポートする」というコメントを出した。
言い換えると、メジャー4大会の主催者は新ツアーをサポートしない意志を示したことになる。これにより、PGAツアーから新ツアーに鞍替えした選手は、PGAツアーから永久追放されるのみならず、メジャー4大会にも出場できなくなる可能性が濃厚になった。
それならば、新ツアーへの移籍を考える選手などいないだろうとも思うのだが、「新ツアーはPGAツアーの弱点を見事についた構想だ」と見る意見も聞こえてくる。
PGAツアーは年間40試合以上が開催されるものの、人気選手が出る試合と出ない試合の差が歴然としており、無名選手ばかりの優勝争いは「見ていて、あまり面白くない」と感じられることは否めない。
その点、新ツアー構想は、年間の試合数を抑え、どの試合も人気選手のみの少数精鋭ゆえ、「毎試合がベストプレーヤーばかり。ファンは喜ぶよね」とは、ミケルソンの言。
PGAツアーの選手たちは、年間何試合に出るべきか、どこで出てどこで休むべきかと、毎年、スケジュール調整に頭を痛めているが、「新ツアーはシンプルに全試合に出るのみ。悩む必要がない」という米メディアの指摘もある。
すでに50歳のシニア年齢を迎えているミケルソンにとっては、若者たちに交じってメジャー大会に挑んだところで勝算が薄いのは世の常であり、それならば、新ツアーから高額の移籍料を受け取り、PGAツアーの半分以下の試合数の全試合に出るほうが、心身も楽であり、「コスパがいい」のかもしれない。
「とても興味深い!」
ミケルソンのそんな一言は、欧米ゴルフ界に広がりつつあった波紋を一層広げ、果たしてどこへ行き着くのか。今後の動向から目が離せない。