【1位】正木智也（慶應義塾大・三塁手・182cm87kg・右投右打）

　本塁打の数やアベレージ、身体能力も、そりゃあ大切だが、同様に重く考えているのが、打席での「立ち姿」というやつだ。投手ならマウンドでの立ち姿……広島・森下暢仁の立ち姿には、学生当時から品格があった。慶應義塾のグレーのユニフォームをまとって、打席でバットを構えた正木智也の姿には、それだけで相手バッテリーを、ネット裏のスカウトたちを「まいった」と思わせるオーラがある。左腕のチェンジアップに気持ちノメったように見えたが、振り抜いた打球は左中間最深部にライナーで伸びて、そのままフェンスを越えた。追うのをあきらめ、最初からクッションボールを待ったレフトとセンターが、こちらに背番号を向けたまま、茫然と立っていた。雄大な放物線が、神宮の上段にアーチをかけた瞬間も見たが、そういう打球の次の打席で、センター方向へ快打を飛ばし、無駄な気負いやスイングの濁りをクリーニングしてしまう。内角がどうこう言う声はあるが、野球は3割、4割で十分。苦手があるのは当然で、逆に確かな「ツボ」があればよい。

ドラフト候補中間予想・野手編【1位】は正木智也（慶應義塾大・三塁手・182cm87kg・右投右打）　©Sankei Shimbun

　ゴールデンウィークをシーズンのひと区切りとして、投手、野手それぞれ10選手ずつをリストアップした「2021ドラフト中間報告」。

　この先、春から夏、そして秋……シーズンが進んでいくにしたがって、「10人」のメンバーに多少の出入りはあろう。

　次回は、夏の甲子園が終わったあたりになろうか。そこまで、どうか予定されている「アマチュア野球」がつつがなく開催されんことを、心から願うものである。

（【投手編】ドラフト中間予想・ピッチャー“ドラ1候補”ベスト10…3位達孝太（天理）、2位小園健太（市立和歌山）、では1位は？　へ）