【3位】松川虎生（市立和歌山高・捕手・178cm100kg・右投右打）

　フッと思うことがある。剛腕・小園健太は捕手が「松川虎生」でなくとも、同じようなピッチングができるのか？　松川捕手以外とのバッテリーになった時、果たしてどんな「投手」になるのか？　それほどに、この2人は「黄金コンビ」に見える。たとえば、横山やすし・西川きよしの絶妙に息の合った「しゃべくり漫才」のような「テンポと間」のよさ。二人の間に無言の会話があるようだ。乗ってきたな……と思えば、速球連発の3球勝負で三振にきってとるリード勘の良さ。体重100キロが全く重く見えない守備ワーク。ファーストプレーの一塁悪送球カバーリングで二進の打者走者をストライクスローで刺せば、二塁牽制動作の下半身の弾力とフットワークのすばらしいこと。帰塁する走者がスライディングをあきらめるほどの圧倒的スピード。中堅から右中間方向に痛烈な打球を求めるスイングスタイル。通算35弾（4月21日現在）、飛距離150ｍ級のパワーも発揮して、昨年西武ドラフト1位・渡部健人がそのまま重なる。快打もさることながら、ヘッドアップするほどのフルスイング……いや、オーバースイングの空振りでも、体勢を崩さないボディバランスの優秀さが何よりの可能性だ。

ドラフト候補中間予想・野手編【3位】は松川虎生（市立和歌山高・捕手・178cm100kg・右投右打）

【2位】藤井健平（NTT西日本・外野手・176cm75kg・左投左打）

　こういう無名の選手を2番目に持ってきたりすると、奇をてらった抜擢だと思われがちだが、そう思う方はぜひ実戦をご覧いただきたい。今回の「ベスト10」、このバイタリティー抜群の外野手の存在を知ってほしくて始めたといってもおかしくない。「野手ベスト10」のキモの1人だ。

ドラフト候補中間予想・野手編【2位】は藤井健平（NTT西日本・外野手・176cm75kg・左投左打）　©Sankei Shimbun

　昨年11月の都市対抗では「9番」を打っていた。それでいて、ボールをギリギリまで長く見て、嫌なボールはファールで粘りながら、投手根負けの失投を痛烈なピッチャー返しや猛烈なライト前に。三塁線の絶妙セーフティがファールになって悔しがった次のボールを、ライトに弾丸ライナーでぶち込んだ時には、「なんじゃ！」と思わず叫んだものだ。ライトを守って、走者に進塁を断念させる「鉄砲肩」を発揮。スライディングキャッチにダイビングキャッチ、フェンスも全く怖がらない球際の強さ。ヘッドスライディングした手を一塁手に激しく叩かれ、痛い、痛い……と痛がっておいて、次の投球であっさり二盗。ちなみに、遠投125m、50m5秒8と聞いている。この選手のプレーには、強烈な「生命力」を感じる。

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